10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 17:35:47.10 ID:sFJRaXSc0
「えっ……その、結構です」
「まあそう言わずに。ライブの後で喉渇いてるだろう?」
咄嗟に断った私でしたが、男の人は気にしたふうもなく勧めてきます。
……せっかくなので、お茶を買ってもらいました。
……この日は暑かったから。
それに、事務所の人には期待できない親切が……。
プロデューサーがアイドルにしてくれるような気遣いが、嬉しかったから。
「……君は慣れてるみたいだね」
お礼を言って、お茶のペットボトルを受け取ると同時、男の人に言われました。
慣れている。
芸能界に……という、意味かな。
この人もプロデューサーなら、アイドルの年季は、見ただけでわかるのかも。
そのときの私は、そう解釈しました。
「そう見えますか?」
「うん。……って、しまった。そろそろ戻らないと、待たせすぎで怒られるな」
我に返ったように、男の人はお釣り口を確かめて、私に背を向けました。
誰を待たせているのかなんて、聞かなくてもわかります。
さっきの、この人が担当しているアイドルの子だろう。
「それじゃあまた、次のライブバトルで」
帰り際に、私のまだ知らない、私をまだ知らないプロデューサーは。
次は負けない、と意識していた私の心を見透かすような言葉を置いていきました。
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