37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 20:00:21.76 ID:sFJRaXSc0
「お雛様?」
五人囃子の笛の人を持ったまま、私は振り向きます。
飾りつけが楽しくて、私の声は弾んでいました。
「うん。事務所の倉庫にお雛様の衣装があったの、見つけたらしいよ?」
私に声をかけてきた子は、いつかのライブバトルでぶつかった、あの子です。
「面白そうだから、誰か着て写真撮らないかって」
さっきプロデューサーが言ってた、と言いながら。
その子も五人囃子の一人を慎重に持ち上げました。
「それは、つまり、私がお雛様の衣装を着る……ってこと?」
「そうそう。……あれっ、この人ってここで合ってる?」
「合ってる。……でもそれなら、お雛様は人気がありそうだけど……」
「それがさー、みんなサイズが合わないんだよねっ」
人形をひな壇に置いてから、その子は向こうを指しました。
なるほど、そっちを見ると、綺麗な衣装が机の上に広げてありました。
私の背と同じくらい……。
確かにこの事務所には、私に近い背格好の人は、私だけです。
話したり、手を動かしたりしながら、少しずつ作業をする私たち。
私は右大臣を、その子は左大臣を持ち上げました。
「ちびっこ達ときらりんは立候補してたけど、サイズが合わなくて諦めてた」
「そうなんだ……」
もしあの子がお雛様になったら、さぞかし存在感があるだろうな……。
「私の見立てだと、やすおかさんならぴったりだと思うんだよね♪」
やすおかさん、というのは、この子が私を呼ぶときのあだ名です。
私のことをそうやって呼ぶのは、この子だけだけど。
劇場で初めて名前を呼ばれたとき以外、ずっとそう呼ばれてるの。
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