4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 17:05:18.04 ID:sFJRaXSc0
………………………… ◇ …………………………
「プロデューサー! 私、勝ったよ!」
「おう、おめでとう! 頑張ったな!」
ライブバトルが終わって、一息ついていた私の耳に、そんな会話が聞こえてきたの。
いかにも新人さんらしい、元気のあり余った声だと、そのときの私は思いました。
……今思うと、負けてちょっと悔しかったんじゃないかなって。
私の目の前で、相手だった女の子は、プロデューサーに飛びつきました。
プロデューサーの方も、笑いながらその子を受け止めてあげていて……。
二人して飛び跳ねてました。
何やってるんだろうって、思いました。
ライブバトルで一度勝ったくらいのことで、鬼の首を取ったように……。
喜んでいられるのは最初だけなのに、と呆れました。
けれど、そう思うよりもっと、羨ましさもありました。
あんなふうに一緒に喜んでくれる人は、私にはいなかった。
勝っても褒めてくれないし、負けても慰めてくれない。
……いや、むしろ、それだけなら、まだ……。
私の知ってる大人は、勝って当然、負けたら役立たず。
人を褒める言葉には、いつだって何か裏がある。そういう人たち。
……あの子のプロデューサーだって、ああ見えて、どうせそうなのよ。
……そうに決まってる。
帰り支度をする私は、一人でした。
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