9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 17:30:20.70 ID:sFJRaXSc0
「助かったよ。ありがとう、見つけてくれて!」
「どういたしまして」
男の人に、冗談に感じるくらい、上機嫌な声で、私はお礼を言われました。
まるで、私が何か特別なことをしたかのように。
特別なことは何もしてないのに。
たった五百円をこうも大事にするなんて、貧乏なところなのかな。
そのときの私が、そう思ったことは内緒です。
「君は……さっき、俺たちと勝負をした子だよね。岡崎泰葉さん」
「はい、そうです」
さっきの会話を聞いていたから、覚えられていたことには驚かなかった。
……驚かなかったけど、目を伏せて、言葉少なに答えた私。
負けを思い出すのは、悔しい。
この人の笑顔にも、何か含みがあるんじゃないかって、そんな気がしました。
「見つけてくれたお礼だ、君にも奢るよ。お茶かジュースか、どれがいい」
けれど、私の内心なんて、会ったばかりのこの人には知るよしもないことです。
自分と担当アイドルの分なのか……。
既にペットボトルを2本、片手で取り出した男の人は、私にそう言いました。
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