過去ログ - 奉太郎「軽音楽少女と少年のドミノ」
↓ 1- 覧 板 20
19: ◆2cupU1gSNo
2013/06/27(木) 20:07:51.12 ID:Z5CFCVew0
「別に俺に『車輪の下』が似合おうが似合うまいがどうでもいい。
だがそうだな。
もしかすると『車輪の下』の内容がこの『ゲーム』に関係してるかもしれない。
自伝風小説と言っていたがお前はこの本を読んだことがあるのか?
あるなら内容を掻い摘んで教えてくれないか、三十文字以内で」
「短いね。
うーん、『才能を持った主人公が挫折して、最終的に事故死する話』かな」
わざわざ文字に書き起こしはしないが、本当に三十文字以内にまとまっていそうだ。
口の上手い里志らしくて思わず舌を巻いてしまう。
しかしそれは。
「酷い内容だな」
つい率直な感想を口にしてしまう。
俺はハッピーエンドを好むわけではないが、いくらなんでも救いがなさ過ぎやしないか?
それを伝えると里志が苦笑に似た笑みを浮かべた。
「ホータローが掻い摘んで内容を知ろうとするからだよ。
ちゃんと読み進めればそういう結末になった理由が分かるものさ。
物語を読むことまで省エネ主義じゃ、正しい内容を掴みかねるものだよ」
さいで。
しかし里志の言うことももっともではある。
今度ちゃんと読んでみることにするとしよう。
この『ゲーム』をつつがなく終わらせることができればだが。
「そうだ、ホータロー。
千反田さんと『車輪の下』に関する話はしたのかい?」
「いや、してないはずだ」
「本を読んだかどうかは?」
「どうだったか。
確か読んでないと話したはずだが」
「なら『ゲーム』と『車輪の下』の内容は関係なさそうだね。
『ゲーム』の参加者のホータローが現在持っている情報で、
この『ゲーム』がクリアできないとその意味がないからね。
『主催者』と『参加者』は対等でなければならない。
うん、それでこそ『ゲーム』さ。
まあ、少し調べれば分かることくらいなら、許容範囲かもしれないけどね」
里志の言うことはもっともだ。
ただ、少し調べれば分かることがどの程度までなのかは千反田の匙加減だが。
つい最近までデータベースを自称していた里志ならば知ってそうなことくらいだろうか。
「ちょっと考えてみたんだけどね、ホータロー」
「言ってみてくれ」
「難しく考える必要はないのかもしれないよ。
千反田さんは単純な問題を僕らに投げかけただけなのかも。
その文庫本は『車輪の下』だよね。
だったら文字通り『車輪』の『下』になにか隠されているのかもしれない」
467Res/621.50 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。