過去ログ - 奉太郎「軽音楽少女と少年のドミノ」
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25: ◆2cupU1gSNo
2013/07/01(月) 21:11:23.97 ID:wMCLhwQ+0
「それでどうするかい?
社会科教室はとりあえず三つあるからね。
一番近い教室から当たってみるかい?」
「もしかするとそのヒントもあるかもしれないな。
なあ里志、社会科教室は第一、第二という感じに数字が割り振られてたか?」
「そう……、いや、違うな。
第一、第二社会科教室はあるけど、第三社会科教室はないんだ。
確か第三社会科教室の正式名称は社会科資料室だったはずだよ」
それがどうかしたのかい、ホータロー?」
「いや、もしかしたらこの文庫本が何刷かにヒントがあるかと思ってな。
だが社会科教室が数字で区分されていないのなら意味がなさそうだ」
「そうかもね」
一応確認してみるがこの『車輪の下』は第七刷だった。
確証はないが刷数は関係ないだろう。
これ以上文庫本を探ってもヒントは残されていなさそうだ。
ならば後は足で稼ぐ時間か?
足で稼げばこの『ゲーム』の攻略は終わるのだろうか?
「ここからだと社会科資料室が近いよ、ホータロー。
一階にある教室だから、下の教室に何かがあるってこともなさそうだね。
下の教室自体ないわけだし。
この教室は床だけ調べればよさそうだね」
それは里志がなにげなく呟いた言葉だったのだろう。
しかしその言葉が俺には引っかかった。
まだ考えていなかったことを思い出したからだ。
『下』の意味。
その意味が階下なのか床なのか、俺にはその意味が掴めていない。
やはりまだ俺は何かを見落としているのだろうか?
瞬間、俺はまだ文庫本の中に調べていない箇所があることに気が付いた。
本の中身もカバー裏も刷数も落書きも調べた。
だがもう一ヶ所だけ俺には調べ忘れた場所があったのだ。
俺は焦る気持ちを抑えて紙製のブックカバーに手をかけた。
さっきは下の本来の『車輪の下』の表紙ごと外したブックカバー。
今度は千反田が『ゲーム開始!』と記した紙製のブックカバーだけを外してみる。
「あっ」
盲点だったと言わんばかりに里志が声を上げた。
俺にもこれは盲点だった。
文庫本には『車輪の下』の本来のブックカバーが上下逆さまにかけられていた。
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