過去ログ - 奉太郎「軽音楽少女と少年のドミノ」
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31: ◆2cupU1gSNo
2013/07/09(火) 18:30:29.45 ID:eFUnsoWc0
『第二理科準備室』に鍵が掛けられているかどうか。
それが第一の関門だったが、その心配がないのは一目瞭然だった。
ドアが半開きになっている上に中から騒がしい声が聞こえていたからだ。


「失礼します」


無断で入るのも無作法だろう。
俺はひとまずの礼儀を示して『第二理科準備室』のドアを開いた。


「おっ、本当に来たよ」


「マジでっ?」


教室の中で騒いでいたのは六人。
その六人の瞳が一斉に俺たちの方に集まる。
『第二理科準備室』で活動しているのは生物部だと、ここに来るまでに里志が言っていた。
ならばおそらくこの騒がしい生徒たちは生物部なのだろう。
何人か見た覚えがある……気がする。
確か一年の頃に同じクラスに在籍していた顔もあるはずだ。
名前は憶えていないが。
それよりも「本当に来たよ」ということは、つまり俺の解答が正しかったということだ。
今はそれだけ分かれば十分だった。


「千反田えるからなにか預かっているか?」


事態を全て承知のようなので、細かい前置きを省いて率直に訊ねる。
率直過ぎたかもしれなかったが、眼鏡を掛けた短髪の女子が笑顔で応じてくれた。


「話は聞いてるよ、折木くん。
なんでも千反田さんと『ゲーム』をしてるんだって?」


『ゲーム』か。
その言葉に俺はまた違和感を覚える。
その女子の物言いにではなく、この『ゲーム』の存在自体に。
だがそれは今は考えても意味のないことだろう。
俺は湧き上がる違和感を押し留めて頷いた。


「ああ、そういうわけだ。
それを知ってるってことは、さっき千反田がこの教室に来たんだろう?
なにか預かっている物はないか?
もしくはこの教室でなにかをしていたとか」


「預かってるものは特にないよ」


彼女が笑顔で首を横に振った。
どうやら物ではなかったようだ。
ならば言伝という可能性も考えられる。
まさか新しい『ゲーム』を彼女に託しているということはないだろうな?
これからドミノ式に多くの『ゲーム』を仕掛けられても困るのだが。


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