13: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/06/13(木) 22:40:42.02 ID:1eqe0XcWo
『……お、来たか、茄子さん』
「おはようございますっ! Pさん、今日のレッスンは何時からでしたっけー?」
『ん? ああ、ええと、四時から二時間だな。今日は知り合いのトレーナーさんが引き受けてくれるそうだ』
「あ……。今日はPさんじゃないんですね」
『済まないな。茄子さんが優秀すぎるから、俺のトレーニング技術じゃ追いつかないところも出てきていてな』
俺は、少し困ったような表情を浮かべながら彼女を見る。彼女も、少し残念そうな表情で笑い返してくる。
彼女のトレーニングを開始して一か月。やはり俺の見立ては間違っていなかったらしく、彼女の成長は著しかった。
声量も文句はないし、透き通るような声と気立てのよさは、現役のアイドルと比べても遜色ないように思える。何より、ダンスの才能は目を見張るものがあった。
彼女には、アイドル的な動きの機敏さは無い。ただ、日本舞踊を習っているのか、それともその知識があるのかは知らないが、動作の全てに優雅さと穏やかさがあるのだ。
まるで剣道や弓道と言った武道の、残心が常に行われているかのように、尾を引く様な動きと言うのだろうか。例えて言うなら、光が動いた時にすぅっと出来る、軌跡の様な物がある。
そして、そののんびりとした性格と、屈託のない笑顔を絶やすことはない。どれだけ辛いレッスンの最中でも、彼女は微笑み続けている。無論、それが出来るギリギリの負荷でレッスンを行っているというのもある。
しかしきっと、いや確実にファンの心を魅了するだろう。何せ、一番傍にいる俺がそうなのだ。魅了されっぱなしと言ってもいいだろう。
客観的に見ても、彼女は可愛いし、綺麗で、そしてたおやかだ。可能であれば、ずっとレッスンを受け持ちたいところである。
……多少、独占欲の様なものがあるのは、致し方がないと自分に言い含めておこう。
154Res/119.74 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。