15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/06/12(水) 20:56:40.07 ID:vLNSj/6Bo
真奥はこの手のホテルなど泊まったことがなく、部屋を取るのに少々苦労したが、無事部屋まで辿り着いた。
やたらと大きなベッドに、ひとまず恵美を寝かせる。
その端に自分も座った。
ようやく肩の荷が下りたことで一息つく。
真奥(……何やってんだ俺?)
街の喧騒から離れ、聞こえるのは恵美の吐息と自分の心臓の鼓動だけ。
やけに大きく聞こえるそれらに反比例するように、頭の中は静かになっていった。
魔王が宿敵である勇者に対して、あろうことか欲情するなど……
真奥(……いや、悪の魔王の所業としたら、むしろアリなのか?)
この世界のフィクションでの魔王の扱いを思い出し、場違いに吹き出す。
横を向き、ベッドに寝そべる恵美を見てみた。
その正体を知って以来、敵として、勇者としてしか意識したことはなかったが――
改めて客観的に見れば、美しい女性だと思った。
顔立ちは整っており、若さに見合わぬ人生経験のせいか大人びた印象を受ける。
あの人間離れした立ち回りも、実際には聖法気でブーストした身体能力のおかげであり、
素の身体つきは程よく締まった女性らしいものだ。
本人は気にしているらしい胸の大きさも身体のバランスには似合っていた。
戦闘のたびに振り回されているはずの長い赤毛も手入れがされており、さらさらと綺麗に光っている。
そして酒のせいで紅く染まったその表情は、どことなく色気を醸し出している。
真奥は、身体が熱くなるのを感じた。
その熱に突き動かされるように、恵美との距離を縮める。
無心のまま、その手を恵美の頬に添えようとして――
恵美「……おとう、さん……」
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