過去ログ - 真奥「性欲を持て余す」
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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/06/12(水) 20:58:35.69 ID:vLNSj/6Bo
それなりに早い時間ではあるが、土曜ということもあり新宿駅東口にはすでに多くの人通りがあった。
改札に降りる前に、恵美が財布を取り出し真奥に数枚の札を渡そうとする。

恵美「これ。昨日のホテル代と、酒代。割り勘ね」

真奥「ん? ああ、んー……」

借りは作りたくないということなのだろう。
無論真奥としても貸すつもりはなかった。なかったが……

真奥「……酒代だけもらおう。ホテル代は俺持ちでいい。連れ込んだのは俺だし」

恵美「はっ? 何よそれ」

恵美が表情を崩し驚く。それはそうだ。
爪に火を灯すような生活の真奥にとって、千円単位の金となれば大金だった。
真奥自身も同じ認識である。貰えるものは貰うつもりだった。
だが――

真奥(なんか分からんが、貰いたくない気がする)

その感情は真奥にとって分類不可能なものではあったが、あえて名を付けるとすれば……
男の意地とでも呼ぶべきものだったのかもしれない。

真奥「というわけで、いらん」

恵美「どういうわけよ! あなたに借りを作るなんて真っ平御免なんだから、とっとと受け取りなさい!」

真奥「言ったろ、連れ込んだのは俺なんだから俺が払う! 意地でも受け取らねえ!」

言い合いが始まる。邪気のないケンカが。
その二人の姿に昨夜の面影はなく、また二人とも――認めはしないだろうが――安心のようなものを感じていた。

真奥(ああ、そういや俺と恵美はこんな感じに話してた気がする)

恵美(やっぱりこいつは私の敵だわ。不倶戴天の敵だわ)

真奥(今は、これでいい)

恵美(今は、これでいい)


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