過去ログ - フロイライン「不思議で優しい神父様」フィアンマ「……」
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4: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/06/13(木) 22:35:56.89 ID:PusaXlv20

「優しい優しい神父様」

これで、火炙りにかけられたのは何度目なのだろう。
カウントする癖などない女―――フロイラインは、日常の一部としてそれを受け入れていた。
服が燃えてしまい、ほぼ裸の状態に羞恥を覚えるでもなく、彼女は首を傾げる。
彼女を拘束したまま燃やした木は、その木の十字だけが燃えてしまった。
彼女の体はどこまでも無事で、無傷で、そのことが周囲から恐怖を誘う。
群衆はざわめき、聖職者は後ずさる。彼が握りしめているロザリオは、半ば歪みかけていた。

「ば、化けものが……!!」
「…本日の処刑は、これで御終いですか?」

彼女は、表情を彩らずに首を傾げた。
痛くも熱くもなかったのだから、当たり前だろう。
ただ、無駄に拘束されているのはあまり快適ではなくて。
拘束という快適でないものから逃れる為に、彼女は問いかけていた。

今日は、これでおしまいですか。
おしまいなら、今日はもう寝てしまいたいのですが。

そんな日常を感じさせる言葉が、聖職者の恐怖を刺激した。

「…み、水! この女を水に浸けましょう」

水は聖なるもの。
だから、この女が魔女ならば、死ぬ筈です。

そんな暴論に、しかしてフロイラインは取り乱さなかった。
死への恐怖という概念がそもそも無い彼女は、村に居る為にこれらの処刑を受け入れるしかないのだから。

「水、ですか」

わかりました。

そう返答して、フロイラインは川の方へ向かう。
死も痛みも、彼女には存在しない概念だった。


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