過去ログ - これからぼくが自殺する部屋
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20: ◆ty8oEf4R2M[saga]
2013/06/15(土) 21:47:39.90 ID:fWp4BBAy0

電源を入れて起動するまでの間に、ぼくは冷凍庫の中身を確認した。

咲坂悠一は言っていた。亡くなる十日前に成り代わる、と。
つまるところ、ぼくの寿命は二時間後には九日になる。
だが、九日までに死んでは意味がないと思った。

ぼくは死者であっても、綴真也はまだ生者だった。

きちんと区分けされた冷凍庫の中身は、作り置きのものばかりだった。
どれも食欲を煽るような出来栄えだった。電子レンジに感謝した。
遅めの夕飯を終えたぼくはノートパソコンと顔を合わせた。

デスクトップにはインターネットのアイコンと、テキストファイルのみ。
ここでも綴真也の性格に難を覚えることとなった。几帳面だ。
ぼくが彼として生きている間は、気をつけねば。

そこでぼくは気付いた。今日は何月何日だろうか。

駅を出て、咲坂未来と喫茶店の席に座るまで、そんなに距離はなかった。
けれど、肌を焼かれるのではないか、と思うほどには暑かった。
誰もが薄手のシャツを着ていた辺り、季節は夏か。

再度携帯電話で日時を正確に確認すると、八月二十日と表示されていた。
つまり、七瀬翔は八月二十日に亡くなり、ぼくは三十日に死ぬ。
余命十日。セミよりも少し長いが、ぼくは人間だ。

インターネットで自殺について調べてみたが、特に成果はなかった。

日本では、毎年数えきれないくらい自殺者が出ていることは知っている。
年間約三万人と発表されているが、それは処理が追いついていない結果。
実際の年間自殺者は、それを遥かに越えるという説もあると聞いていた。

ぼくはデスクトップに表示されている、もう一つのアイコンをクリックした。




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