37: ◆ty8oEf4R2M[saga]
2013/06/17(月) 10:23:31.42 ID:8Jw0TV/c0
ぼくはまた綴真也の家へと戻り、綴真也に繋がる答えを探していた。
彼は日記に、ぼくたちには親しい人間などいない。そう書いていた。
つまり綴真也についてよく知る人間は、残るは咲坂未来だけだということだ。
だが、彼女からどうやって綴真也の過去を聞けばいい?記憶を失くしたとでも言うのか。
時を刻んでいく秒針が、ぼくの焦りを助長させていた。
名案と呼べるものに行き着かなかったので、ぼくはもう一度日記に目を落とした。
前回は、確か七月三十一日の日記を読んだ。まだ先があったはずだ。
スクロールしていくと、次は八月五日の日記であった。
八月五日
咲坂悠一が自殺してから約五日。今度は結城久が自殺した。
あり得ない。どうしても結城久の自殺を肯定することなどできない。
なぜ、彼は生を掴みとり、自殺することを選んだのか。全く説明がつかない。
そういえば、彼は言っていた。俺が咲坂悠一を殺した、と。
道理で考えれば、結城久は咲坂悠一に対して罪の意識があったことになる。
しかし、結城久が咲坂悠一を殺す理由など、ぼくには思いつかない。
咲坂悠一が自殺した頃には、彼は病室にいたではないか。
ああ。もしかしたら、こういうことなのか。
結城久は何らかの形で咲坂悠一の自殺の後押しをした。
だから直接手を下すことがなく、それに気付いた結城久は自殺した。
考え直してみたが、特に不自然な点はない。これも、候補の一つとなるだろう。
警察は未だに事情聴取に来る様子はない。
ということは、咲坂悠一の死は自殺と判断されている。
つまり、警察が事情聴取に来る際には、捜査はほぼ終わっている。
…ぼくたちは、警察の捜査の確認の為だけに、使われるのだ。
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