過去ログ - これからぼくが自殺する部屋
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51: ◆ty8oEf4R2M[saga]
2013/06/17(月) 21:12:48.58 ID:8Jw0TV/c0

はじめよう。

ぼくがぼくとしてこの世に存在していた、という証拠を残す為に。
綴真也の人生を救う為に。咲坂未来の人生を救う為に。
ぼくはどんな手を使ってでも、彼らを救う。

八月二十三日の早朝六時。

咲坂未来が確実にこの世に存在する時間は、あと一日と十八時間。
八月二十五日になってしまえば、咲坂未来はいつ自殺してもおかしくない。
それまでに、ぼくは彼女を救うのだ。そして彼女を救うことにより、綴真也をも。

ぼくは時刻が七時を迎えようとした瞬間には、咲坂未来にメールを送った。

真也です。大事な話があるんだ。
今日、警察の事情聴取が終わってから、会えないかな。
咲坂悠一の死について手掛かりを掴んだかもしれない。君の話が聞きたい。

メールを送信してから数分と経たないうちに、返事はやってきた。

はい。では、事情聴取の際、一緒に行きましょうか。
こちらも思い出したことがあるのです。
お時間はどうしますか?

わかった。なら、以前の喫茶店に、十時に集合しよう。

咲坂未来から了承のメールを受け取り、一息ついて、携帯を閉じた。
こうしている間にも、咲坂未来の死へのカウントダウンは続いているのだ。
一刻を争うとはこういう事を言うのだと、ぼくは死してから気付くことになった。

「ぼくは、間違っているのかな。運命を歪曲させようだなんて」

それは綴真也に対して問うたのか、自らに対して問うたのか。
…死者であるぼくが、生者の生を願うだなんて。
ぼくは自嘲気味に微笑していた。

どこからも返事の帰ってこない問いが、ただ、部屋に響いた。




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