過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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10: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/14(金) 23:18:31.23 ID:JGBQ+Wk30


 不意に、部屋の電話が鳴った。ハンナも俺もハッとする。人差し指を立ててハンナ静かにするよう伝えてから受話器を上げた。

「こちら情報管理室」

「あぁ、たびたびすまないな」

またかよ、大尉殿。

「これは、大尉殿。どうされました?」

「例の、連行した不審者だが、人数は5人で間違いないのだな?」

先ほど報告を上げたが、人数の再確認なんて珍しいな。

「は。確かに、5名です」

「そうか…」

大尉殿は、なにやら曇った声色でそうつぶやく。

「なにか問題が?」

俺がそう聞いてみると、大尉殿はすこしあわてた様子で

「い、いや、何もない。明日の朝一番で取り調べを行う。

 貴様にはすまないが、今晩は寝ずの番でやつらを見張っておくようにな」

と言い放って来た。外道め、俺の使い方まで荒いときたもんだ。

「は。承りました」

「頼むぞ」

また、一方的に電話が切れた。

 なんだ、今の電話?5人は予想外なのか?

多いのか、少ないのか…少ないのだったら、どこか近くに、仲間が隠れている可能性がある。

多いのであれば、あの中で誰かがイレギュラーなのだろう。しいて言えば、あの女性か…?

 「マーク、私いったん、営舎に戻るね」

ハンナがそう言って椅子から立ち上がった。

「ん、あぁ。悪かったな、夜中に呼び出して」

俺が謝ると、ハンナは笑って

「ううん。平気」

と静かに言った。それから、俺に抱き着いてきて、軽いキスを交わしたハンナは、トレイを持って執務室から出て行った。

 彼女の後姿を見送ってから、俺は、体が重くなるのを感じてデスクに突っ伏した。

考えたって、仕方ない。俺にはどうすることも出来はしないんだ。

願わくば、あの子ども達が、大尉に痛めつけられないように、とそれだけを思っていた。

 そうだ、あいつらの生き死になんか、関係ない。別段、知り合いってわけでもないんだ…

そうは思っても、彼らの末路が分かっているだけに、気が滅入る。

これまでに、あの大尉殿、なんとかハメて左遷にでも出来ないかと計画したこともあったが、

念入りなことで、身辺の情報封鎖は完璧だ。いずれにしても、こんな木端の情報士官が手を出すにはちょっとばかり無理があった。

俺はただ、この理不尽な感情をどうにかこうにか押さえつけることしかできはしないんだ。



 不意に、耳鳴りがした。




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