過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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127: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/22(土) 23:27:00.28 ID:Iu+skykt0

 商店やマンションの立ち並ぶ、細い生活道路を走る。

 息が切れて、胸が熱くなる。心臓がバクバクして、胸が苦しい。まったく、普段からもう少し鍛えておくんだった。

事務屋って、こういう時には役に立てないな…

 そんなことを思いながらも、路地を行く。

 不意に、エンジン音が聞こえた。車だ…ティターンズか?俺は脚を止めて、また、すぐ近くにあった酒屋のドアを蹴破った。

ニケたちを中に押し込もうとした瞬間、エンジン音が急に大きくなって、20m先に車が現れた。

「いたぞ!」

ティターンズ!

 身をひるがえして、店の中に飛び込んだ。中では、ハンナ達が肩で息をしながら、俺を見ていた。

 「見つかった!裏から逃げるぞ!」

そう言って立ち上がろうとした俺は、体に異変を感じた。なんだ?脚が…

 不思議に思って、自分の体を見やった。

 俺の左脚から、大量に出血していた。あわてて、ズボンを引き裂いて、患部を見る。底にはぽっかりと丸い穴が開いていた。

撃たれたのか…!?

 俺は、慌てて傷口を縛るために、シャツの袖を破く。

その間に、レオナがサビーノと一緒になって、ドアをテーブルでふさいだ。

 「マーク」

ハンナが俺を呼んでいる。待ってくれ、ハンナ。縛り終わるまで、もう少しだから…

「マーク」

分かってる…ハンナ、俺も、分かってるんだ…

「マーク!」

ハンナはそう言って、俺の体を抱いた。

 「ハンナ…わかってるだろ?」

俺は、脚を縛り終えた手を、ハンナの体にまわした。ハンナの体は、震えていた。泣いているんだろう。

 分かってるよ、ハンナ。こんな体で、走ってなんて逃げられないとこぐらい。

だとしたら、俺にできることなんか、ひとつしかないだろ?

「マーク…」

まだ、俺の名を呼んでいるハンナの、俺の好きだった、彼女の自慢のブロンドを撫で、頬に手を添えてやる。

でも、そうしながら、俺はハンナを体から離した。

「すまない…」

俺が謝ると、ハンナは首を横に振った。

「ううん…私こそ…」

ハンナは、ボロボロと泣きながらそう答える。俺は、笑ってやった。なるべく、こいつらが、俺のことを気にやまないように…。

 それから、ハンナには、キスをしてやった。短くて、浅い、記憶に残るだけの、キスを。




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