過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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188: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/27(木) 20:07:24.49 ID:asNSo3CW0


 「さて、挨拶はこれくらいにして、さっさと出ようや。時間が惜しい」

隊長がそう言って、ニヤっと笑った。

 飛行機が、フレートさんの操縦で離陸した。私はレオナと隣り合わせに座って、機体が安定するまでシートに身を任せている。

 レオナは、やっぱり、どことなく緊張した面持ちだった。どうしたんだろう、レオナ?

「緊張してるの?」

気になったので、聞いてみた。レオナは一瞬びっくりした様子をみせてから、戸惑い気味にコクッとうなずいた。

「大丈夫だよ。隊長も、フレートさんも頼りになるんだ。きっとうまくいくから」

私がそう言ってあげると、彼女は小さく、首を横に振った。

「そうじゃ、ないんです」

それから、掠れそうな小さい声で、そう囁くように言う。

 違うの?これからのことに緊張しているんじゃないんだ?じゃあなに?飛行機怖いとか、そう言うこと?

 私が疑問に思っていると、レオナは口を開いた。

「私、あんまり、地球の人に好かれる人間じゃないんですよ…その、ニュータイプ、だから」

そう言ったレオナの唇は、かすかに震えていた。

 あぁ、そっか。なんだか、納得してしまった。

この子は、小さい頃に地球に来て、連邦に監禁されたり、実験されたり、果ては、スペースノイドだから、って理由だけで、

ティターンズに追われ、研究所に追われて、捕まったり命の危険にさらされてきたんだ。

だからきっと、隊長達が怖いんだな…そんなこと、心配しすぎだって笑うのは簡単。

でも、とてもじゃないけど、そんなことをする気にはなれなかった。

 だって、彼女から伝わってくる緊張感は本物だ。とても軽い気持ちで受け止めたり、流したり出来る様なものではない。

それだけの目に遭ってきたんだ、彼女たちは…。

 なんだか、胸が締め付けられるような気持だった。寄る術もなく、物のように扱われてきた気持ちってどんななんだろう…

私が、父さんや母さんや、兄さんを亡くして、一人ぼっちだなって思ったときときっと似ているんだろうけど、

たぶん、それよりももっとつらくて悲しい時間だったはずだ。

それこそ、自分で自分の命を絶ちたくなってもおかしくはないくらいに…

 そんなことを考えていたら、いつのまにか、目からポロポロと涙がこぼれ出していた。

あぁ、私のバカ!泣いちゃダメだって思ってたのに…あぁ、なんでこんなに涙腺ゆるいんだろう、私…


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