過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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205: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/28(金) 19:59:09.65 ID:OJWBqZ2T0

 アタシはいまだにすこし呆然としているハンナの手を引いて、キキのあとについて路地を抜けた。

大通りでタクシーを捕まえて、10分もしないうちに空港へたどり着く。

 空港に着いてから、改めて自己紹介をした。

ハンナがあの基地から来て、子ども達を連れて逃げ出したこと、逃げ出してからのことを話すと、キキは顔色を真っ青に変えた。
どうしたのか、と思ったら、彼女はハンナの目をじっと見て

「あれは、あたしが手引きしたんだ。あのちび達を、アイナがどうしても助けたいっていうから…」

と口にした。

「だけど、うまくいかなかった。ちび達だけでも、助けてくれてよかったよ…

 それから、あなたの恋人の、マークさんは、本当にごめん。

 あたしがうまくアイナをサポートできなかったせいで…そんな目に…」

キキは、涙をこらえていたんだろう、奥歯をギリッとかみしめた。

ハンナをチラッとみたら、彼女は特に怒るでも、キキを責めるでもなく

「ううん、私たちは、私たちがしようと思ったことをしただけ。

 あの爆発や停電がなかったら、助け出すこともできなかった。感謝してるわ」

と穏やかな口調で言った。良い奴だな、ハンナの方も。なんだか、笑みがこぼれてしまった。

不謹慎かと思って、何とか口元を引き締めてから、キキを急かして飛行機へと向かう。

 エプロンの駐機場に止っていたのは、なんだか、偉く古めかしい機体だった。

双発の、小型のレシプロエンジンを両翼につけた機体だ。

機体の腹側が船底みたいな形をしているし、そういや、機体の両脇から妙な形のドロップタンクみたいのもぶら下がっている。

待てよ、これって、飛行艇ってやつじゃないのか?この宇宙世紀にレシプロで、しかも飛行艇だなんて…

場所さえ違えば、博物館に展示してあっても驚かない逸品だ。飛行艇か…水上走行に離着陸ができて飛べる…

うちのペンションでも導入できないかな…無理か、高そうだもんな。

 「ずいぶんと、レトロなんだな」

アタシが言ってやるとキキは

「あたしは、東南アジアの民間ゲリラの生き残りなんだ。ツテはあるけど、金はない。

 村も、何も、みーんなティターンズにやられちゃってね…別に、やつらに反抗したわけでもないのに。

 生きるために、カラバやエウーゴに頼まれた偵察をしたくらいで…あんなこと…」

と悔しそうに眉間にしわを寄せてつぶやいた。こいつは、余計なこと聞いちゃったな。悪いことしたか…

 「まぁ、整備は済んでるし、腕の立つパイロット兼コーディネーターも雇ったからさ。力を貸してくれよ」

キキはすぐに自分を切り替えて、アタシにそう言ってきた。勘違いするなって。アタシが助けてやるんだ。

感謝も頼みごともされる筋合いがないんだって。頼みたいのは、むしろアタシからなんだ。

「アイナさんは、アタシの友達だ。あんたやシローに頼まれなくなって、助け出す。変な気は使わないでいいよ。

 こっちこそ、手だてを用意してくれて感謝してるんだ」

アタシが言ってやると、キキはすこし嬉しそうな顔をした。


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