過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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219: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/29(土) 17:03:50.27 ID:200yW6J00

 夜が来た。アタシはハンナと飛行艇を出た。基地へ向かうには、ここから南へ、林の中を抜けて行く。

30分ほどで基地の周辺に到着するはずだ。

 「ハンナ、身を低く。なるべく、脚を上げて動くようにしろ。

 こういう地形だと、踏み込む音より、地面とすれて枯葉やら草を鳴らす音の方が聞かれやすい。

 なるだけ脚を上げて、やわらかく踏み込むようにすれば、物音は最小限で済む」

「はい」

ハンナに基本的なことを教えながら林の中を進む。

 「この暗闇だ。敵に出くわしたら落ち着いて身を隠せ」

「はい」

「焦らなくていいぞ。到着するまでにバテたら元も子もないからな」

「はい」

ハンナは、素直に何度も、そう小さく返事をする。なんだか、マライアに操縦を教えてた頃を思い出すな。

あいつも、アタシが言うことなんでもかんでも「はい」って返事をして、

たまにカレンのとんでもない発想の指示を聞かされた時に「はい」って返事してから困った顔してたっけ。

ハンナも、筋は良さそうなんだよな。ちゃんと教えてやれば、身を守るくらいのスキルはすぐに身につくだろう。

もしかしたら、ハンナや子ども達にとって、そいつは重要になってくるかもしれないからな。

今のうちに、できる限りのことは教えておこう。

 エンジン音が聞こえた。ハッとして脚を止めて、ハンナに手を挙げて制止する。15mほど先に道路がある。

アタシはハンナに手で隠れるよう合図をしながら、自分も木陰に身を隠した。

 ライトを灯した軍用車が道路を通り過ぎていく。テールランプが見えなくなるのを確認してアタシは立ち上がった。

 ふぅ。

ハンナのため息が聞こえた。彼女の顔を見ると、汗をびっしょりかいて、少しだけこわばって見えた。

そりゃぁ、緊張するなってほうが無理だよな。アタシだって緊張してる。でも、緊張のし過ぎは良くないぞ。

 アタシはハンナの顔の汗を手で拭って、レナにするみたいに頭をポンポンと叩きながら

「楽にしろよ。まだ、そんなに危険ってわけじゃないんだ」

と言って笑ってやった。ハンナは笑ってうなずいたけど、なんとか笑顔を作ろうとして失敗した、ぎこちない表情だった。

まぁ、これもこれで仕方ない、か。

 アタシはさらに林を進む。道路を越えて、しばらく行くと、木々の間から明かりが見えた。あれは…監視塔か…。



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