過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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220: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/29(土) 17:05:05.84 ID:200yW6J00

「あそこで間違いないよな?」

「はい、あそこです」

ハンナにそう確認してからアタシは無線に話しかけた。

「7番より、3番。目的地に到着。そっちの準備は出来てるか?」

<こちら、3番。準備できてる。『キロ』も戻ってきた。合図でいつでも行けるぞ>

キロ、ってのはKの頭文字の一般的なコード。要するに、キキのことだ。ちなみに、ハンナはHを取ってホテル、だ。

「了解。頼む」

<カウントする…5、4、3、2、1、ダウン>

ダリルのカウントとともに、少し離れたところにあった監視塔の照明が消えた。

「おい?なんだ?」

「どうした!異常か?」

兵士たちの声が聞こえる。

 「よし、行くぞ」

アタシはハンナに言って、林の中を駆け抜けた。基地の外周のフェンスに取り付いて、

手早くペンチでX字に斬り込みを入れ脚を使って押し広げる。先にハンナを通し、搬入口へと走らせてアタシも後を追う。

他の監視塔は、照明の消えた塔へサーチライトを当てていて、足元は真っ暗。兵士たちも監視塔に確認に走っていて、周辺はザルだ。

 アタシとハンナは何事もなく、搬入口へたどり着いた。

扉の上にある監視カメラは動いているが、誰もいない映像がループで流されているはず。さて、もう少しだ。

アタシは自分にそう言い聞かせながら拳銃を抜いた。ハンナもアタシを見て銃を抜く。

「いいか、拳銃は突き出すな。ペンションに来たときみたいに、押さえされちゃうからな。

 まずは脚だ。一歩踏み込んで、次に肩、で、その次に銃口だ」

「はい」

ハンナの小さい返事が聞こえてくる。よしよし、表情は硬いけど、落ち着いてはいるな…大丈夫。

 アタシはそっとドアを開けて中を覗き込んだ。倉庫になっている中に人影はない。

素早く中に踏み込んでハンナを引き入れてドアを閉める。それから、倉庫の東側の天井付近に換気口を確認した。

金属製の格子でふさがれている。

「ハンナ」

アタシは倉庫のドアをそれぞれ施錠してからハンナを呼んだ。

「あれ、外せるか?」

「やってみます」

ハンナはそう言ってベストからナイフを抜いた。アタシは片膝をついて、ハンナの土台になる。

ハンナはアタシの膝を肩に脚をかけて、腕を伸ばし、ナイフを換気口の格子と天井との隙間にねじこむ。

コトンと言う小さな音がして、格子が外れた。

「こっちへ」

小声で言って、その格子を受け取ってから、

「そのまま上がれ」

と言いながらハンナを上へ押し上げた。ハンナの体が、換気口に吸い込まれるように消えていく。

アタシは、格子をほどいた靴ひもに結び付けてから換気口に飛びついた。

両腕で体を引き揚げて、中に入り込み、靴ひもに括り付けた格子を引っ張って、また換気口にはめ直す。

 よし、これで一息つけるな。


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