過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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221: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/29(土) 17:05:37.48 ID:200yW6J00

 「ふぅ」

文字通り、アタシは息を吐いた。それを見たハンナが何かを伺うようにアタシの顔を見つめてくる。

「ここで、ちょっと休憩だ。水、あるか?」

アタシは自分のベストに入れておいた小さいスキットルを出して、それを口に含む。

少しだけ、それを手のひらに吐き出して手を洗うみたいにして全体を湿らせる。

手を濡らすのは、気持ちを落ち着かせる効果があるんだと言ってたのは、隊長だったかな。

ハンナも水を飲んで、すこし落ち着いた表情になった。

「3番、聞こえるか?」

<感度良好>

無線も無事だ。

「地点Cに到着。5分、小休止を取る」

<了解。スケジュールを2分押してる。中途半端だから、8分休んでスケジュール全体を10分更新しよう>

「了解した」

<気をつけろ>

「分かってる」

報告を終えて、さらにもう一息ついた。

換気口の中は、ダクトがあるわけではなくて、天井裏になっていた。見取り図通りだ。

アタシはその場に身を横たえながら、もう一度気持ちを整えていた。

息が詰まるような苦しさを、ゆっくりと解きほぐしていく。集中だ…焦るな…ビビるな…。

自分にそう言い聞かせながら、意識的に呼吸を深く、長く、ゆっくりと整えていく。

「ハンナ、平気か?」

「は、はい」

ハンナが返事をしてきた。

「よし、じゃぁ、動くぞ」

「了解」

アタシはペンライトを灯してあたりを照らした。見取り図だと、このまま西へ勧めば良いはずだが…

細い金属の骨組みに乗っているだけの天井板を踏み抜いちまったら、アウトだ。慎重に、梁の上を這って行かなきゃな。

 ライトで進むべきルートを確認する。少し南側に進んでからなら、しばらくは真っ直ぐ西に向かって梁が伸びている。

あれを辿るか…

「行こう。落ちないようにな」

「はい」

アタシはハンナの方をポンとたたいてやってから、狭い天井裏を這って進んだ。

 「おい、さっきのD塔の停電、なんだったんだ?」

「あぁ、配電盤の制御コンピューターのラグだとさ」

「んだよ、びっくりさせやがる。整備班の怠慢だな」

「まったくだ」

 下から話声が聞こえる。アタシは、進むスピードを緩めて、細心の注意を払う。

 なんとか、梁の上を行き止まりまで進んできた。ここから先は、天井裏から出て、廊下を行くしかない。正念場だ。



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