過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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30: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/15(土) 23:12:01.15 ID:Ax9gx0y90


 そう言えば、聞いたことがある。ムラサメ研究所の、最近の研究対象は…

―――強化人間…

 もしかしたら、彼らは、その実験体にされるところだったのではないのか?

 強化人間の実験が果たしてどういう物なのかは検討が付かなかったが、

少なくとも、人間に番号を振るような連中が、まともなことをするとは思えなかった。

 スモークシートを貼り終えて、俺は助手席に戻った。昨日から眠っていない。

正直、体は少し疲れてきていた。

しかし、この緊張感を緩めるわけには行かない。せめて、船に乗るまでは、一瞬の油断もできない。

 ふと、フロントガラスの向こうの景色に目が留まった。見ると、数人の軍人が群がって何かをしている。

あれは…乗ってきた軍の車を捨てた路地だ。

「車、見つかったみたいね」

ハンナの淡々とした声が聞こえる。

「急いで離れよう」

俺もなるべく落ち着いてそう返事をしてサングラスをかけた。

 大尉のことだ。俺たちの指名手配も、漏れなく行っているだろう。

レオナやニケたちを守るためではなく、俺たち自身を守るために、早くこの街から逃げるべきだった。

 ハンナの運転で、車がハイウェイに入った。3時間もすればコウベに着く。

そこから、なるべく遠方へいける船に乗ってこの土地から離れる計画だ。

 「そう言えば」

ハンドルを握っていたハンナが口を開いた。

「あの停電のときの侵入者、って、なんだったんだろう?」

え?

 その言葉に、一瞬戸惑った。あの停電は、ハンナが起こしたものじゃなかったのか?

侵入者ってのも、なにか細工をして、そう見せかけたとばかり思っていたが、違ったのか?

「あれって、お前がやったんじゃなかったのか?」

そう聞くと、ハンナは首を横に振った。

「ううん。レオナたちを助けたいって思っていたのは確か。でも、方法は全然浮かんでなんてなかった。

 でも、どうにかしたいって思っていたら、爆発音と一緒になって電気が消えたから、チャンスだって思って、拘禁室に走ったの」

「どうやってあそこの鍵を開けたんだよ?」

「合い鍵の場所くらい、私が知らないと思った?」

ハンナは笑って肩をすくめた。こいつ、俺の部屋から黙って持っていきやがったな?

「ホントに。毎度毎度、突拍子もないことされる俺の身にもなれってんだよ」

俺がそう言ってやるとハンナは声を上げて笑った。




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