過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
1- 20
403: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/07/15(月) 14:16:05.64 ID:a4CMWmdY0

「いる…生きてる…」

「生存者?感じるの…?」

あたしは、レオナからほとばしっている研ぎ澄まされた感覚を捉えて、自分も神経を集中させる。

この一帯には、戦闘の痕跡だろう、恐怖や苦しみの感覚が広がっている。

それにとらわれないように、かき分けるように閉ざしながら、レオナが感じているだろう何かを探る。

 寒さ…これは、寒さだ…それに、恐怖…?いえ、これは死者の思念?ううん、違う。これはもっとリアル。

生きている人の、震える感覚…。

 「ルーカス、速度落として、慎重に。誰かいる」

「了解」

ルーカスがスロットルをいくつか操作して微かなマイナスGが体にかかる。

あたしは自分と前に抱いたレオナのノーマルスーツからアンカーワイヤーを引っ張って、シート下のフックにひっかける。

 そうしながら、暗闇のデプリ群に目を凝らす。感じる…近く、近づいている…もっと先、もう少し…すぐ、近くだ…!


「あれ!」

レオナがそう言って声を上げて指を差した。そこには、進行方向から迫ってくる球体があった。あれは…脱出ポッド!

 「速度落とします。大尉、あれを回収するのは無理です。Zで直接、パイロットだけを回収しないと」

「うん、分かった。ケージへ行くよ。乗り込んだら、連絡する」

あたしはそう言ってレオナを解放してアンカーワイヤーを外した。席を立とうとしたあたしをレオナが捕まえた。

いつの間にか、レオナもワイヤーを外している。あたしの慣性に引っ張られて、レオナと一緒に天井にぶつかる。

柔らかく受け身を取りながら、レオナはノーマルスーツのヘルメットの中からあたしを力強い目で見つめて

「あたしも連れて行って…」

と言ってきた。その瞳は、確信だった。まさか、あれが、レイチェル?わかるの、レオナ…?

 天井に跳ね返ったあたしは、レオナをつかまえたまま操縦室の中を漂う。

別に、中の人を回収するくらい、ひとりでもできそうだけど…でも、かなり怖がっているのは確かだ。

レオナが一緒に居てくれれば、錯乱でもしていたりしたときに落ち着かせてくれるかもしれない。

「わかった、レオナ。行こう」

あたしはそう言って笑ってあげた。レオナも、ヘルメットの中で嬉しそうに笑顔になった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
837Res/1090.45 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice