過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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48: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/16(日) 22:01:18.11 ID:WbsrO5Z60


 船内では、車の中で過ごすことが禁じられていたので、わざわざ個室を取った。

大人3人に、子ども4人で泊まるために8人用の大部屋だ。出費が手痛かったが、この際、そんなことも言っていられない。

一般の雑魚寝スペースで寝泊まりするのはリスクが高すぎるし、致し方ないだろう。

 コウベを出てからは、俺たちも子ども達も部屋の中で一日の大半をすごしている。

朝夕と、船内のレストランにテイクアウトの夕食を買い出しに行くのが、唯一部屋から出る時間で俺とハンナで交替で行くことにしている。

最初のうちは緊張して仕方なかったが、

ここのところは、緊張するとかえって不自然なんじゃないかとすら思うようになっていたそれでも、

多少は周囲の様子に集中していることは言うまでもないが。

 「だはー!まただまされた!」

「あははは。あたしの勝ちー!」

ハンナは、売店で買ってきたトランプを使ってレオナと子ども達と一緒に、ババ抜きをやっている。

普通、トランプの駆け引きなんて言ったら、あーでもないこーでもないと騒ぎながらやるもんだが、あいつらは違う。

ゲームがひととおり終わる一部始終、ずーっと黙っている。だが、険悪なわけではなく、むしろどこか穏やかな沈黙だ。

傍から見ている俺にはさっぱりだが、あの日、ハンナとレオナが交わしたような、言葉じゃない会話が繰り広げられているんだろう。

 まったく、わけがわからないが。

 「マークさんもやろうよ!」

そんな俺を見かねたのか、ニケがそう声をかけてきた。別に仲間外れにされて寂しいとか思っているわけじゃない。

「いや、邪魔しちゃ悪いし、俺までやっときたいことあるんだ」

俺はそう断って、コウベで買った持ち運び用のノート型コンピューターのモニターに目を戻した。

 任意の暗号を組んで通信情報を隠ぺいしたうえで、軍のデータベースにアクセスをしている。

目当ての情報は、あの日、ニケの口から洩れたアムロ・レイについてだ。

 アムロ・レイは、1年戦争時の英雄。強力なニュータイプ能力を持ち、

敵のモビルスーツの動きや存在、意思までをも感じ取っていたと言う話だ。

もっとも、それは終戦直後にマスコミや軍の広報誌に載った彼のインタビュー記事をうのみにした情報だが。

彼はその後、軍に残っている、との話だったので、その後の情報を探しているのだが、

どこをどう見ても、その存在が確認できない。アムロ・レイと言う名前が、ことごとくデータベース上から削除されている感じだ。
スペースノイドやニュータイプの存在を忌み嫌うティターンズの仕業なのか、

それとも、そもそもアムロ・レイと言う存在が、連邦軍のプロパガンダで、実在しないのか。

 いや、どちらかと言えば、前者だろう。

データベースにアムロ・レイの名はないが、しかし、何かが消された痕跡はある。

暗殺されたのかそれとも、極秘裏にどこかへ監禁されているのか…

 彼がどうなったのかは、想像の域を出ないが、

少なくとも、このアムロ・レイを探し求めるという行為を、ティターンズは良しとしないだろう。

公言すれば、間違いなくティターンズの耳に入る。ただでさえ、追われる身だ。

このことは何があっても口にするべきではないだろう。




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