過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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512: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/08/11(日) 12:28:41.57 ID:iPU4IZC90

 守衛室を出て、オフィスの入り口へと向かう。薄暗い廊下に、あたし達以外の気配はない。

程なくして、「ロム無線機器株式会社」と書かれたドアの前に差し掛かった。

見取り図を確認するとオフィスの中に地上階へ続く階段がある。どうやらここはオフィスの裏口のようだ。

両開きのそのドアを確認すると、やはり鍵がかかっている。

ピッキングツールを差し込んで、さっきと同じ要領で鍵を開ける。今度のは、構造が簡単だったので、すぐに開けられた。

 そっとドアを押し込んでオフィスの中へと入る。

廊下同様オフィスも薄暗く、誰もいないデスクと、おそらく昼間は使っていたんだろう機材があちこちにおいてある。

廊下よりも、こういう雑然としたところに一切人がいないって方が、かなり不気味な感じがする。

 着ていたシャツの袖口が何かに引っかかった。

見たら、なんてことはない、レオナがあたしのシャツをギュッと握り締めていた。

うん、いや、レオナ、気持ちはすごい分かるよ。オバケとか出そうだもんね、これは。

気持ち分かりすぎちゃうから、その、あれだ、も、もっとくっ付いてくれて、いいいいいいいんだからね…。

 あたしもなんだか背筋が寒くなって、袖を握っていたレオナの手を引き剥がして、

代わりに近くへ引っ張り寄せて、腕にしがみつかせた。よ、よし、これでちょっと安心する…。

 それにしても…隠された通路があるとしたら、どういうところだろう?

壁面にそんなものがあったら一目瞭然な気もする。

壁をライトで照らすけど、例えば壁材の継ぎ目なんかは特に見当たらない。ってことは、あとは、足元、だよね。

 あたしは、カーペットの敷き詰められた床を確認する。

けど、一面、同じ色のタイルカーペットが敷き詰められていて、こっちも注目するべきポイントもない。

壁よりはこの下の方が怪しいんだけど、かといって、さすがに一枚一枚、

カーペットをはがして確認するのは時間がかかりすぎる。何か、手がかりがあるはず…。

天井に付いた非常灯だけがぼんやりと浮かび上がるオフィスの中を、懐中電灯で照らしながら、あたしは恐る恐る進む。

レオナが体をぴったり寄せてついてくる。こんなんじゃ、まるでオバケ屋敷だ。

だ、だけど、で、電気なんてつけたら、さすがにヤバいしね…。

 「マ、マライア」

急に耳元でボソボソっと言う声が聞こえて、瞬間的に背中にゾクゾクゾクっと悪寒が走り抜け飛び上がりそうになった。

もちろん、呼んだのはレオナなんだけど、そ、そんな耳元で呼ばなくてもいいでしょ!

 半分涙目になりながら、レオナを見る。すると、レオナは懐中電灯で何かを照らしている。

そこには応接用のソファーとテーブルのセットが置かれていた。パッと見、おかしなところはないけど…

「あそこの床」

レオナが言うので、テーブルが置かれているその下を見る。

すると、一面灰色のタイルカーペットのはずが、その下だけが、うっすらと赤い感じのカーペットになっている。

ちょうど、上品にテーブルの下やソファーの足元にラグが置いてあるみたいな雰囲気になっていて気づかなかったけど、

確かに、あそこだけ別の色のタイルカーペットが敷いてあるみたいだ。

 あたしはレオナと一緒にそのテーブルまで近づいていく。どうみても普通のテーブルには間違いない。

しゃがみこんで、テーブルの足元確認する。警報装置やトラップなんかが付いている様子はなさそうだ。

 「これ、どかそう」

レオナに言って、テーブルの両端を二人で持って、少しだけ位置をずらす。

それから、あたしは赤いタイルカーペットを慎重に剥がして行く。

すると、その下から30センチ四方くらいの点検口の蓋のようなものが現れた。


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