過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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631: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/09/01(日) 23:48:22.22 ID:8hpv4eXMo

「姫様!」

姫、様?…そ、それって、もしかして…ネオジオン総帥の…ミネバ・ラオ・ザビ…!?

あたしはハッとしてモニターに視線を戻した。

そうだ、この子は確かに、数か月前、ネオジオンが地球に降下してきて、

ダカールでパレードをしていたときの映像で見た子だ!彼女がこの船に乗っているの?

っていうか、待って、ミネバ・ザビは、人工授精児だったの?!

 あたしは、博士の顔を見やる。博士はまた、申し訳なさそうな表情で言った。

「彼女は、ミネバ・ザビじゃない。れっきとした、アタシの作っちゃった、人工授精児。

 影武者としてネオジオン総帥に祭り上げられた、偽物なんだ」

「影武者!?」

「ああ。本物は、先のグリプス戦争終結前後に、何者かによって拉致された、っていうのがアタシが得ている情報。

 それ以降、ずっと影武者として裏に居た彼女が、本物のミネバ・ザビとして引っ張り出されたんだ」

「じゃぁ、以前、地球でパレードをやったミネバ・ザビは…」

「あれも、この子。偽物だったんだよ」

博士はそう言いながら紅茶を飲んだ。

「そんな子が、どうしてまだここに?」

「エゥーゴや連邦は、どうやら事実をつかんでいるみたいでね。

 サイド3にいるところを、ネオジオンの残党が奪い返してきて、ここにいる。

 偽物だって分かっているんだろうから、奪回も容易だったんだろう。

 でも、ネオジオンはまだ、彼女を利用する気でいる。だから、アタシは彼女を連れ出しにこの船に乗ったんだ。

 これ以上、戦争の道具にされないように、な」

戦争の、道具…レオナがいつも言っている言葉、だ。

この子も、そうなんだね…戦争のために生み出されて、望んでもいないのに、戦争のために運命を利用されている…

そんなのって…ない。

 一人や、二人、逃がす人が増えたって、支障はない、よね?

「なら、その子も、一緒に」

あたしは、博士を見つめて言った。それを聞いた博士は、ハッとした表情であたしを見つめ返してくる。

「いいのかよ、危険だぞ?」

「大丈夫です、慣れてますから。それに、建前だったけど、あたし達は、戦時被災者の保護が目的。

 プルやその子が戦争の被害者でなくて、いったい何を助けるっていう、話ですよ」

あたしは、笑って言ってやった。ここまできたら、乗りかかった船、だ。

そんな重要人物、追手がかかるだろうけど、なんとか対応してみせる。

「だから、一緒に脱出プランを練ってください。この船のことは、あたし達よりも博士の方が詳しい。

 使えそうな機材にルートに、脱出方法、なんでもいいんです、教えてください!」

あたしが言ったら、博士はその表情をキュッと引き締めてうなずいてくれた。

 



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