過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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69: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/17(月) 21:47:44.69 ID:shr/BI9J0


 それから30分もしないうちに、船は動き出した。連邦軍の連中は、モビルアーマーと小型船に乗って、引き揚げて行った。

 俺は、と言えば、部屋に戻って、ジョニーのことを考えていた。あいつに、強い意思があったのは、分かった。

だが、それはジョニー自身がサビーノ達を気にかけていただけで、

長い間一緒に過ごしたり、血がつながったりしているわけでもない。

言ってしまえば、特に深いつながりがあるわけでもない。

なのに、なぜ、あんな行動をとったんだ?

 彼は、それしか方法がない、と言ったが、おそらく実際はそうではなかっただろう。

ジョニーならば、隙を見てモビルアーマーを奪うこともそれほどリスクを掛けずにできたはずだ。

少なくとも、連邦の軍人が乗っている間は、いくらなんでも、そう簡単に攻撃はしない。

彼ひとりなら、つけ入る隙はあった。

だが、そうはしなかった。俺たちに被害を及ぼさない、最善の策を、彼は選択した。

 俺には、その理由が理解できていなかった。

そして、そのことが、なぜか、深く胸に爪を立てていた。

 「おい、ニケ。もう泣くなよ…」

サビーノがニケを慰めている。ニケは、俺が、ジョニーのことを話す前から、ずっとああして泣いていた。

思えば、ジョニーがこの部屋を出て行くとき、彼にしがみついたニケは、もうすでに彼の気持ちを理解していたのではないか。

 ハンナとレオナが言っていたように、ニュータイプ同士、なにかを感じ取っていてもおかしくはなかった。

 「シロー達も、お姉ちゃん達も…ジョニーも…なんでよ。なんで、みんな、危ないってわかってるのに行っちゃうのよ!」

ニケがそう叫ぶ。サビーノが、そんなニケに囁いている。

「俺たちのことを、守ってくれようとしてるんだよ…。わかるだろう?」

「わかるよ!わかるから、だから…どうしてなの…私たち、なんにも悪いことしてないのに…

 どうしてこんなにたくさんの人に憎まれなきゃいけないの?!私たちは、生きてちゃいけないの?!ねぇ!なんでなの!?」

ニケが声を荒げている。

 ジオンに居たころはもっと幼かったはずだ。そんなころから、この子たちは、

証拠隠滅だとか、テスト欠格だとか、スペースノイドだとか、そんな理由で、命を狙われ、もてあそばれてきたんだ。

そう思うのも、無理はないだろう。






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