過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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772: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/09/24(火) 01:48:46.31 ID:J9ii/eyso

 マライアとペンション防衛隊の二人が帰ってきてから、私はマリオンと逃げ出すようにホールから飛び出していた。

いや、逃げ出したんじゃなくて、その、マリオンとリネンを取りに、ね?

 私たちはブランケットやシーツをしまってある二階の倉庫へと向かった。

マリオンはガタガタと音を立てるシャッターの音を気にして、いちいちソワソワしている。

なんていうか、その怯えた感じが、どことなくかわいかった。

「大丈夫?マリオン」

「あ、はい」

私が声を掛けると、彼女はハッとしてそう返事をした。でも、不安な感じがビンビンと伝わってくる。

倉庫でブランケットと、それから枕なんかを集めながら、私はどうにか、安心してもらえないかと考えた。

確かに、ガタガタ鳴って、風はビュウビュウ吹いてて、雨もまるで地鳴りみたいな音を立てて降っているけど…

でも、これはこれで、情緒ってやつなんだと思えば、案外悪くないと思うのは私だけなんだろうか?

アヤもハリケーンは嫌いだし…私の感覚が可笑しいのかもしれないけど…

「私はね、ハリケーン、嫌いじゃないんだ」

私はマリオンにそんなことを言っていた。

「え?」

マリオンが、静かにそう聞き返してくる。

「ハリケーンは、近海で温められた空気が急上昇して空で冷やされて大きな雲になるんだって言う話だけどさ…

 私、そう言う難しいことは分からないけど、でも、この島にいるとね、

 7月ごろから12月ごろまではこうやって時折ハリケーンが来て、大暴れして行くんだ。

 港の施設が壊されたり、漁礁が荒れたりしちゃことも多いんだけど、でも、それでも、ね。

 私たちが、地球に生きてるんだな、って証拠だって思うんだ。コロニーじゃぁ、こんな気象は起こらないでしょ?

 暖かくって、地面があって、良いところばかりじゃ、きっと退屈しちゃうと思うし、そんなことあるわけがないもんね。

 私たちは、この地球に身を寄せ合って、助け合って生きてる。良い時もあれば、悪い時もある。

 でも、すくなくともどんなときだって私たちは、この星に抱かれて生きてるんだ、ってそう感じられる要素に違いはないと思うんだ。

 だから、このハリケーンも、私にとっては、お天気の日と一緒。

 そう思ってたら、不謹慎だけど、ハリケーンも悪くないかなって、思うようになったよ」

私が言ったら、マリオンは、へぇ、とわんばかりの、キョトンとした表情になった。



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