過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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79:アウドムラ ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/18(火) 22:10:29.22 ID:KMbg4rxB0

 それから4日後、船はアラフラ海を航行していた。

部屋の窓からテラスに出て、進行方向を見やれば、そこにははるかかなたに陸地が見えた。

ティターンズの臨検があったせいで予定が遅れ、昼間に到着の予定だったが、あたりはもう薄暗い。

 ただ、俺たちにとっては好都合だ。すくなくとも、昼間よりは顔がバレる心配はしなくて済む。

そうは言っても。警戒を緩めるわけには行かない。

俺は、基地から乗って出た軍用車に積んであった装備の中から、双眼鏡を荷物に忍ばせておいた。

さっきから、このテラスで陸の方を観察している。まだ、距離がある上に暗がりで、どんな様子かは分からない。

 あの日、ニケは2時間ほど泣き続けてから、ようやく落ち着いた。

他の子ども達はシレっとしているように見えたが、本心はどうだったのだろう?

ニケの感受性が強すぎるのか、それとも、他の子たちも同じ想いだったが、なんとか取り繕っていたのか…

 ただ、レオナはニケを辛そうな眼差しで見つめていたから、もしかしたら、他の子ども達も感じ入る部分はあったのかもしれない。

 俺は、ニケが泣き止むずっと前に、ジョニーのことを考えるのはあきらめた。

感謝こそすれ、今の俺たちは、感傷に浸っている余裕はないんだ。

 「どう、様子は?」

部屋の中からハンナが声をかけてくる。

「まだ、何も見えないな」

俺が首を横に振ると、彼女は肩をすくめて

「まぁ、そうだよね。なんにもないと良いんだけど…」

とつぶやくように言った。

 本当に、その言葉に尽きる。

 部屋の中にいるサビーノ達や、レオナも、幾ばくか緊張した面持ちでいる。

こんな時に、ニュータイプの勘で、敵が居るか居ないか、分からないものだろうか?

いや、そこまで便利なわけはないな。


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