過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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790: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/10/01(火) 00:03:12.30 ID:ObsLsi9Ro

 マルコくんの話を聞いて、あたしはマリオンと一緒にすぐさまワゴンで施設へと向かった。

車で門から園庭に入ったら、そこにはびっくりするような光景があった。

 高さ、6,7メートルはあるんじゃないかっていうくらいの木が、根元のあたりからバッキシと折れていて、

折れた幹が3階建ての寮舎を直撃していた。

寮舎は鉄筋コンクリート製で丈夫なはずなのに、まるで建物を壊す鉄球に殴られたみたいに3階部分が割れて幹がそこにめり込んでいた。

マルコくん、かすめた、って言ってたよね?これ、かすめてる、ってレベルじゃないよ?直撃してるよ?

 あたしは、ワゴンを折れて切り株のようになっていた地面に残ったほうの木の幹に

ワゴンのウィンチのワイヤーを巻きつけて固定してから、マリオンとマルコくんと一緒に、寮舎の中へ駆け込んだ。

 「あぁ、マライアちゃん!」

入り口からロビーに入ったら、ロッタさんがあたし達に気が付いて呼びかけてきた。

「ロッタさん、ケガ人とかは出てない?!」

あたしはまずそれを聞いた。もし、木の倒れたところに誰かいたとしたら、大ケガになってもおかしくない状況だったからだ。

「部屋に居た子が、すこし擦りむいただけよ」

ロッタさんはロビーの隅をチラっと見て言った。そこには、各部屋から避難してきたのだろう子ども達が身を寄せ合っている。

その中に、額に大きな絆創膏を貼ったサブリナちゃんが居た。あぁ、顔をケガしちゃったんだね…女の子なのに…

 そう思って、あたしはサブリナちゃんのそばへ近づいた。サブリナちゃんは、まだすこし興奮状態で、あたしを見つけるやいなや

「マライア姉さん!あのね、木がドカーンって!」

と掴み掛ってきそうな勢いでそう言ってきた。あたしはサブリナちゃんの肩を抱いてもう一度座らせてから

「怖かったね…ケガは、ハリケーンが行ったら、ユーリさんに診てもらえるように言っておくから、安心して。

 キズとか残らないように、ちゃんとお願いしておくから」

と言ってあげた。でもサブリナちゃんはポケっとした顔をして

「キズなんて残っても平気だよ?それよりも、穴が開いたままだと、水漏れして下の階の子の部屋までダメになっちゃう!」

なんて言ってくる。参ったな、さすがアヤさんを見て育ってる子は考えることが違うね。

あたしは思わず笑ってしまったけど、でも、サブリナちゃんの言っていることはもっともだ。

これ以上の被害を抑えるためにも、雨水の侵入は防がないといけない…。

 「ロッタさん、現場見させてもらえますか?」

あたしは表情を引き締めてお願いする。ロッタさんは、コクンと頷いてあたし達を3階のサブリナちゃんの部屋まで案内してくれた。

 サブリナちゃんの部屋はもう、ひどい状況だった。壁が崩れて、あちこち瓦礫だらけ。

寄りかかっている木の幹と壁の隙間から大量の雨水が漏れ出ていて、敷いてあったカーペットをぐっしょりと濡らしている。

男性の寮母さんが一人、なんとか雨水を食い止めようと、隙間にタオルなんかをつっこんでいるけど、

正直、あんまり役に立っている感じはしない。

 こんな大きな木の除去は、さすがにこの嵐の中で、しかも素人が重機もなしに取り掛かるには無理がある。

そっちは明日専門の業者にでも頼むとして…問題は応急処置だ。

このままじゃ、本当に吹き込んでいる大量の雨が下へ下へと伝わって行っちゃう。

なんとか、雨水の侵入は食い止めないといけないけど…方法って言ったら、一つくらいしか、浮かばない。
 


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