過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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81: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/18(火) 22:11:43.76 ID:KMbg4rxB0


 船が港への距離を詰める。双眼鏡の中の景色に、明かりが動いているのが見えた。

あれは…車のヘッドライトか?

 俺は目を凝らしてその明かりを見つめる。ゆらゆらと動いてはいるものの、光源が移動している様子はない。

しかし、その光は強くなったり、弱くなったりしながら、動いているようにも見える。

 港への距離がさらに近づいて、その光の正体がわかった。そして、俺は、絶句した。

それは、サーチライトだった。あんなに、たくさん…

 あんなものが、普通の港に用意されているはずがない。

いや、1つや2つくらいはあってもおかしくないのかもしれないが、見える限り、6、7個はある。

そのライトの少し下を、何か黒い影が行ったり来たりしている姿も見える。

人の姿だろうか。

 すでに警戒態勢が敷かれていると思った方が良い。

港まではあと30分もないぞ…どうする…?!

 俺は双眼鏡から目を外して考えた。車で包囲を突破するのはおそらく無理だ。

基地から逃げる時に使っていた多少の装甲板のついたトラックならそれも案の中に入れられただろうが、

この船に積んでるのはあいにく、普通の車だ。逃げようとしたところに銃撃を加えられれば、あっと言う間もないだろう。

 だとすれば、この船に籠城するか…おそらく、折り返し出航するのは、明日の朝になるだろう。

それまでどこかに隠れていることができるかもしれない。しかし、海の上で臨検をしたようなやつらだ。

停泊した船をくまなく探すくらいのことはするだろう。しかも、船底の貨物室に積み込んだ車が一台だけそのままになる。

バカでも、船の中にいることくらい想像はつく。

 それなら、逃げるよりほかはない。だが、この距離だと詳細な状況が把握できない。

それも夜だ。逃げるにしても、相手の状態を把握するまでは、作戦のたてようがない。

 俺は、胸がつまりそうな心持ちに襲われて、ふうと大きく息を吐いた。なにか、うまい案が浮かべばいいが…

 そんなことを考えているうちにも、船はゆっくりと港に接近していた。堤防に囲まれた湾内の様子も良く見えてくる。

 サーチライトは、9個設置されていた。堤防には、数十人の連邦軍の軍服を着た人間が、右往左往しているのが見える。

軍用車に、装甲車もある。

 あれは、確実に警戒網だ。モビルスーツや戦車がないのは助かるが、そうは言っても、簡単な状況じゃない。

そう言えば、あれは確かに、連邦軍の軍服だ。ティターンズのものではない。

ジョニーを連行して行った、臨検に来たやつらはティターンズの軍服を着ていたが、今回はその姿が見えない。

と、すると、あれはティターンズではなく、ニュータイプ研究所の私兵、と言うことだろうか?

待てよ、これはチャンスかもしれない。

ティターンズなら迷うことなく発砲してくるだろうが、ニュータイプ研究所の人間なら、

子ども達もレオナも、貴重な研究材料のはずだ。そう簡単に危険にさらすような対応をしないようにも思える…

が、そんな憶測に頼るのは、危険だ。

 あの警戒態勢の中に突入せず、この船から脱出する、もっとも安全な方法は…おそらく、これしかないだろう…。

 俺は、このテラスに出たときから気づいていた、備え付けの金属製の箱を開けた。

そこにあるのはもちろん、非常用の救命胴衣だった。





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