過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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9: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/14(金) 23:17:50.19 ID:JGBQ+Wk30


 「ねえ、マーク」

執務室に入るなり、ハンナは俺に詰め寄ってきた。言いたいことは、分かる。

「彼ら、なんとかしてあげられないの?」

ハンナの顔は、今にも泣きだしそうだった。

 そんなこと、ずっと考えてるよ、俺だって。

 言葉じゃなくて、ため息が出た。俺は椅子に座り込んで、さらに考えを巡らせる。

 何とか、あの大尉の尋問からは避けさせてやりたい。さっきも思ったが、おそらくあの大尉のことだ。

誰かを半殺しにして、自白の強要を迫るだろう。あの女性がそうなるか、あるいは、子ども達のうちの誰か、か。

いや、やはり、子どもを一人、痛めつけて、女性からの情報を引き出す方が有用か。

 あの中のうち誰かが、ムチで皮膚を裂かれて、血だるまになって…

 胸にムカムカする何かがこみ上がってきた。これは、怒りか。冷静になれ。

なんとかあのくそったれ女大尉を丸め込む方法はないのか…

 どうすりゃいい?別口の重要参考人だって言う手配書でもでっち上げるか?

いや、そんなもん、確認されて終わりだ。だいたい、あいつら、なんで子どもなのにつかまってるんだ?

陸戦隊があんなのを怪しいと思うはずがない。明らかに、あの大尉が連れて来させたんだ。

だとすれば、大尉はあいつらが何者か知っているってことか…

だとすると下手に情報いじっても、バレるどころか、俺まで疑われるな…

 大尉が直接指示をだして連れてきたんだとしたら、俺にできることはなにもない。

あるとすりゃぁ、銃殺覚悟で上申してやめさせることだけだ。正直、そこまでやるほど、思い入れがあるわけじゃぁないが…

 「どうしようもない。あいつらは、大尉の命令で連れて来られたんだ。俺が何を言っても、どうにかなるもんじゃない」

俺が言うと、ハンナの表情が険しくなった。

「だって、まだ子どもだよ?!悪いことしてここへ連行されたなんて思えない!」

「確かにそうだが…上がそう思っていない以上、できることは限られてる」

ハンナは拳を握って壁を殴りつけた。

 悔しいが、今のこの基地の命令系統の下じゃ、俺たちがしてやれるのは、黙って食事をだしてやることくらいだ。

あるとすりゃぁ…

「あとは、殺すしかない」

「えっ…」

俺の言葉に、ハンナは声を上げた。

「こ、殺すって、大尉を?」

「あぁ、お付きの二人もな」

「で、でも、それは…」

「そう、リスクがデカすぎる。まだ、脱走を手引きする方が無難だな」

自分で言い出しておいて、現実的ではなさ過ぎて笑えてしまった。ハンナはそんな俺をしり目に、黙り込んだ。

はぁ、こいつ、変なこと考えてんじゃないだろうな?

たまーに突拍子もないこと始めるとこあるんだよな…そのクセが出ないと良いが…

 ハンナはそれっきり黙ってしまった。そのままイスに座り込んで虚空を見つめている。





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