21:@[saga]
2013/06/15(土) 16:50:10.79 ID:rH3krSfi0
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そういうわけで、杏は突然一週間の休暇を言い渡された。ドッキリかと思っていろいろ調べたりしてみたけど、どうやらガチっぽい。
でも急に休みって言われても、それはそれで困ってしまう。心配されるくらい忙しいってことは、仕事以外にやることがないってことだし。
最近はゲームも楽しく感じなくなってきちゃったし、さて、明日からなにしよっかな。
なんて考えながらチーム対抗クイズ番組で一位をとって、杏は一人で事務所に戻ってきた。
「乃々。机の下でなにやってんの?」
「……くすん」
事務所はなにやら剣呑な雰囲気で、プロデューサーと乃々のにらみ合いを他のアイドルたちが見守っているという構図らしい。
「杏、おかえり」
「ただいま、プロデューサー。あんまり乃々をいじめちゃダメだよ」
「仕事に行かないって駄々をこねるんだ。いろんな意味で先輩である杏なら、どうにかできないか?」
「うーん、タイプが違うんだけどなぁ」
だけどプロデューサーの頼みだし、やるだけやってみてあげる杏はほんとにちょろい女だ。
杏は気軽に乃々のひそむ机の下に潜って、そして怯える乃々にあることを耳打ちした。
杏の見込みが間違ってなければ、これで大丈夫なはず。
耳打ちが終わると乃々はあからさまに絶望的な表情になって、すぐに机の下から飛び出した。
「あの……わがまま言って、ごめんなさい……」
乃々の急激な手のひら返しに、さしものプロデューサーも面食らったみたいだった。
「い、いや。やりたくない仕事をしないためには、まず売れることだ。それまでは我慢してくれ。俺も全力でサポートするから」
「はい……頑張りますけど……」
2人はすぐに事務所を出て、急いで仕事場に向かっていった。それを軽く見送ってから さて帰ろうかと踵を返すと、今のやり取りを見守っていたアイドルたちの視線が杏に突き刺さっていることに気がついた。
代表して、仁奈がぽひぽひと近づいてくる。
「杏おねーさん。乃々おねーさんに、なんて言ったんでごぜーますか?」
「べつに。わがまま言っちゃダメだよって言っただけ」
仁奈の質問を適当にあしらって、杏は荷物を回収して事務所を出る。
乃々をどう説得したかを理解してもらうためには、乃々に説明したように まず杏がどうしてプロデューサーから距離をおいたかってとこから話さなくちゃいけないからね。
乃々。杏みたいに嫌われたくなかったら、あんまりプロデューサーを困らせちゃダメだよ。
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