過去ログ - 杏「甘えちゃいけない」
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27:[saga]
2013/06/15(土) 19:32:39.49 ID:rH3krSfi0



・・・・・・



 疑問にはあとで答えてやるから、なんて言いながら、結局どうしてプロデューサーがここにいるのかは教えてくれなかった。いや、秘密にされたとかってわけじゃなくて、自分から言い出してくれないってだけだけど。

 けれど、それを杏の方から聞いてしまったら、プロデューサーが帰ってしまうかもしれないなんて思って、なにも聞けないでいた。

 今の杏は心身ともにプロデューサー無しでは生きていけないくらい弱りきっていたから、ほんの少しでもプロデューサーの機嫌を損ねるかもしれないことはしたくなかった。

「プロデューサー」

「なんだ?」

「ごめんなさい」

 事務所から持ってきたらしい書類やノートパソコンに目を落としていたプロデューサーは、顔をあげて杏を振り返った。

「そうだな。次にこんなことがあったら、絶対に許さないからな」

「……うん。体調管理は、もっと気をつける」

「そっちじゃない」

「?」

「風邪くらい誰だって引くだろう。というかアイドルの体調管理はプロデューサーである俺の仕事だ。そうじゃなくって」

 プロデューサーはすごく真剣な目で杏を見つめてきた。

「体調がおかしいなと思ったら、無理しないで俺に言え。それから、もし熱を出すようなことがあったら、すぐに俺に連絡しろ。40度近い熱があるのに、強がるんじゃない馬鹿」

 多分怒られてるんだろうけど、そうやって杏を見つめるプロデューサーが今にも泣き出しそうな顔をしてるもんだから、杏は何も言えなくなる。

「ほら、さっさと寝ろ。タオル持ってきたから、俺がいなくなったらちゃんと汗は拭いておけよ」

「もう帰っちゃうの?」

「違う。俺が部屋を出たらってことだ。夜まで帰るつもりはない」

「そうなんだ」

 嬉しい。プロデューサーが夜までいてくれることは、ほんとに飛び跳ねたくなるくらい、すっごく嬉しい。

 でもこれじゃだめなんだ。これじゃ、今までとなにも変わらない。3ヶ月の頑張りが、全部水の泡なんだ。

「……プロ、デューサー」

 言え。言わなくちゃ。

「今日は、その、ありがと。でも もう大丈夫だから、事務所に戻って平気だよ」

「杏。お前は最近 俺のことを避けてるようだが、なにが気に食わないんだ? 言ってくれれば善処するぞ」

「……避けてなんか、ないよ」

「そうか?」

「そうだよ。ほら、さっさと事務所に戻って仕事しなよ。いい加減、ちひろにしばかれるよ?」

「もうしばかれるのは確定してるから今さらだ」

「は?」

「アイドルの送迎とか監督とか、全部すっぽかしてきたからな。今頃 事務所はパニックかもしれん」

「はぁ!? 無断で出てきたの!?」




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