3:@[saga]
2013/06/15(土) 01:03:17.04 ID:rH3krSfi0
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まるでゴミ箱に空き缶を捨てるくらいの気軽さで、プロデューサーは杏を事務所のソファに放り投げた。ちょっと人権を無視した扱いを糾弾してやろうと振り返ったときには、プロデューサーはもう自分のデスクに鞄を置いて、書類を広げているところだった。
「ああ、忘れてた」
ふと、そんなことを言ったかと思えば、プロデューサーはポケットから取り出したものを杏に投げて寄越した。わざわざ手を開いて確認するまでもない。昔から杏がお気に入りな飴だった。
「まったく、飴を与えれば杏がなんでも言うこと聞くだなんて思ってほしくないね。そろそろこの飴にも飽きてきたところだし」
「そうだったのか? まあ今日のところはそれで我慢しとけ。俺は出掛けるが、ちゃんと着替えて仕事先に向かうんだぞ。わかったな」
「ま、気が向いたらね。もぐもぐ」
飴は好きだけど、昔と違って杏が仕事をするのはほとんどプロデューサーのためだ。仕事をうまくこなしても、プロデューサーは無愛想だからほとんど誉めてはくれない。でも、杏がヘマしたらプロデューサーの経歴に傷が付くかもしれない。それは、嫌だ。だからがんばる。
プロデューサーが事務所を出たのを確認してから、杏は軽い足取りで更衣室へ向かう。プロデューサーがいないなら、めんどくさがりなめんどくさい子を演じる必要はない。
そんな杏のことを ちひろがニヤニヤしながら見てたのが、ちょっぴり不快だった。
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