24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/16(日) 18:50:16.80 ID:qhHCx2Gz0
「ええと、差押って書いてありますね。立ち入りを禁ずるとも書いてあります」
差押?何のことだ?
事務所の経営については詳しくはないが、少なくとも最近は良い傾向だったはずだ。
業績の改善と、職務の成果を理由に賞与の支給もあったし、備品の新調も増えていた。
「イタズラでしょうか?一応、中に入ってみましょうか?」
電話越しにちひろさんが尋ねてくる。
ナターリアがまだ事務所にいる可能性もある。事務所にちひろさんを入れるのは得策ではない。
「いえ、大丈夫です。俺も一度そっちに行きますから、それまでは人通りの多いところにいてください」
やっとの思いで逃げ出した事務所にとんぼ返りをするのは気が進まないがやむをえないだろう。
一応、事務所への嫌がらせあるいはイタズラがあったという口実で警察を伴って出向けば何とかなるはずだ。
「わかりました。でも、人通りの多いところですか?どうして……」
「後できちんと説明しますから、今は俺のいう事に従ってください」
「わかりました……」
納得はしていないような声だったが、わかってはくれたようだ。
「あと、ナターリアはいますか?」
「ナターリアちゃんですか?それどころか誰もいませんよ?」
「……わかりました。それでは気をつけてください」
「ええ?わかりました」
電話をきると、画面の時刻表示は午後3時48分を示していた。
それだけを確認して、俺は懐へと携帯をしまいこんだ。
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