3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/15(土) 17:48:17.68 ID:Dd59npfE0
「それ、よくできてるな……。だけど、こっちに向けるのは止めてくれないか」
自分でもわかるくらいに腑抜けた声。
口から出る台詞は小刻みに震え、ところどころ裏返ってしまっていた。
彼女の後ろにテーブルが見える。
その上に広がる茶褐色の液体、きらきらと光る陶器の破片も。
つい数分前のことだった。
彼女は突然、銃を俺に向け、発砲した。
幸い、目の前にあったローテーブルに着弾したのだが、彼女の手に握られたそれの脅威を知らせるには十二分だった。
テーブルの木目は深々とえぐれ、コーヒーカップとソーサーは目の前で弾け飛んだ。
兆弾はソファに突き刺さり、破片のいくつかは頬を掠めた。
こんな映画のような出来事は夢であって欲しかったのだが、そうはいかないらしい。
頬に滲む赤と、その疼痛はがこれは現実なのだと知らせていた。
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