過去ログ - 岡部「離合集散のアンフィビアン」
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23: ◆gzM5cp9IaQ[saga sage]
2013/06/16(日) 17:34:41.90 ID:AS9AYY6f0

倫太郎「だから俺はガキじゃ……」

天王寺「いいから飲んどけって」

倫太郎「……」

缶を開けようとプルタブに指をかけ力を込める。
その瞬間ブシューっと泡がこぼれ落ち──

倫太郎「あ、あぁっ……」

咄嗟に零れ落ちるジュースをすすった。

天王寺「おいおい、何してんだ、ったく」

いや、炭酸を投げて渡すあなたもどうかと……。

倫太郎「……美味い」

天王寺「そうか、そりゃ良かった」

ポン、と肩を叩かれ笑顔を向けられる。
それは先ほどとは違い、どこか淋しげな笑顔だった。

こうして俺は、手伝いとしてブラウン管工房に出入りすることなる。
とは言え、時代の流れはブラウン管テレビよりも液晶テレビ。
工房の手伝いは忙しさとは無縁だった。
たまに来る貧乏そうなお客の接客の他は、店内の掃除、店長の娘である綯の世話ばかり。

それでも俺は、家に帰らない日もあるほどこの場所に入り浸った。

居場所を求めて。
記憶の奥底にある、この場所を求めて──



Chapter 1 『分離喪失のデジャヴュ』END



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