過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」
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375: ◆kaGYBvZifE[sage saga]
2013/06/19(水) 20:36:46.96 ID:rXE7FPtg0
「あなたが可愛いのはわかったから。杏さんはどこにいるの?」

「え? ああ、寝室で寝てますよ。夜遅くまでゲームしてたみたいですし」

「また? ……わかった。ありがとう、幸子ちゃん」

そそくさとその場を離れた泰葉は、リビングを通って寝室へ向かった。
もしあの場に留まっていたら、なし崩し的に幸子を讃える会(仮)をグランドフィナーレまで
見物しなければならなかったところだ。
流石に幸子に対して腹立たしさは湧いてこないにしても、疲れるのには違いない。

泰葉は寝室のドアを開けようとドアノブに手をかけるが、

「……あれ?」

ごく一般的なはずのドアノブはしかし、ピクリとも動かない。
どうやら内側から押さえられているようで、部屋の主がなにか細工をしたのは明白だ。

数分の間、動かないドアノブと格闘した泰葉だったが、やがてほつれた糸がちぎれるように
『憤怒』の衝動が彼女を突き動かしていた。

「……ッ!」

業を煮やした泰葉はドアノブから手を離し、ドアそのものに拳を突き入れた。

厚みのある木製の防火ドアは易々と突き破られ、次いで液体の中に手を突っ込む感触があった。
泰葉はさらに深く腕を伸ばし、ソフトボール大の歪んだ球体を掴み取った。
そして、ぐっ、と力を込めると、その球はいとも容易く粉砕された。

その後すぐに液体が重力に沿って流れ落ちる感触を確かめると、泰葉は改めてドアノブを回す。
今度は、いとも呆気なくドアが開かれた。


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