過去ログ - フィアンマ「病室を、間違えていないか」ヴェント「ッ、」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2013/06/20(木) 22:42:20.37 ID:51Km9zTj0
一方。
フィアンマは、教会へ行く道の途中で寄り道をしていた。
食事をし、外へ出て、野良猫に目を惹かれた結果である。
真っ黒な毛並みと、黒い瞳を持つ愛らしい黒猫。
イタリアでは、黒猫は不吉の象徴だ。
黒猫だというだけで、年間6万匹もの猫が迷信を信じる市民によって殺害されている程に。
魔女裁判の時代、猫の飼い主は悪魔崇拝主義者または魔女の証拠とされた。
猫は生まれながら邪悪とみられ、裁判において人間と共に罰せられ、焼き殺された。
黒猫はその色のゆえ暗闇に他人の目に見えずに隠れ留まる能力を持ち、魔女のパートナーにふさわしいと考えられていたからである。
しかし、だからこそむしろ、フィアンマはこういった不吉の象徴を愛おしく思う。
自分が、幸運過ぎるからだ。
不吉なものは全部黒なのだろうか、と様々な伝承を思い返して。
「にゃあ」
「……、…」
拾って帰るべきか。
放り置けば、恐らく迷信を信じる人間に殺されるだろう。
だが、この猫を死ぬまで面倒を看られる自信もない。
未来の見通しのつかないことをするのは、嫌だった。
「…まあ、頑張って生き延びるんだな」
ごろごろと喉を鳴らす猫の頭を撫で回し、フィアンマはしゃがんだ状態から立ち上がる。
そうして今度こそ、教会へ向かい、歩き始めた。
結局、フィアンマが教会へたどり着いたのは午後八時のことだった。
エウラーリアの部屋を訪ね、中へと入る。
ノートを握ったままの彼女に、キッと睨まれた。
「遅い」
「…色々とあってな」
「約束はしていなかったとはいえ、常識ってモンを考えなさいよ」
「……」
「……」
確かに自分は悪かったかもしれないが自分の立場を考えろ、と窘めかけて。
フィアンマは、彼女の瞳が僅かに潤んでいた事に気がついた。
その色は、怒りの余り、というものではなく、心配の色合いが濃いものだった。
沈黙し、彼は気まずそうに視線を彷徨わせる。
ノートの内容。
彼女は魔術師がどのようなものか、きちんと覚えたのだろう。
そして強力な魔術師は他者から狙われやすい、ということも。
口を噤む彼を見やり、彼女はため息と共に切り出した。
「…で、教えてくれるんじゃなかったっけ?」
「ああ。…初歩から学ぶか」
フィアンマは魔術師であって、魔導師ではない。
だが、右席にその身を置きながらも、例外的に通常魔術を使用出来る。
スムーズとは言い難いものの、他人に魔術を教える事は難しい事でもなかった。
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