過去ログ - モバP「いいお酒が手に入ったので」
↓ 1- 覧 板 20
893: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2013/12/19(木) 18:04:39.32 ID:kfUxAf1e0
真駒内アイスアリーナ。秋空と呼ぶには、まだ日差しが強い感じがする。
ツアー初日。
チケットは早々とソールドアウト。追加立見席も売り切れ。
楓「ラストラン、か」
感傷というほどじゃないけど、ややセンチな気分になる。
私とあの人は三日前から札幌に乗り込み、ステージが出来上がっていくさまを見てきた。
お城のような雛壇。このステージと4ヶ月の間共にする。
P「あれ、なにやってるかわかります?」
あの人は、音響さんがレーザーで確認している様子を指す。
楓「いえ?」
P「スピーカーの配置を決めてるんですよ。音が全体にバランスよくいきわたるように、レーザーで確認してるんです」
楓「へえ」
P「アリーナはコンサート用に作られてないですからね。まあ、これもうちの事務所のこだわりですかね」
それぞれのプロがそれぞれのこだわりで、黙々と仕事をこなす。
職人集団、という言葉がぴったりの様子。
それをまとめるあの人のこだわりも相当のものだと、容易に想像できた。
楓「なんか……すごいってしか言えないですね」
P「僕は彼らに任せっきりですし、ほんとありがたいことです」
楓「Pさん」
P「ん? なんです?」
楓「いよいよ……始まりますね」
ふとそんなことをつぶやく。すると。
P「楓さん……未練、あります?」
楓「未練、ですか」
あの人の問いかけに、首を横に振る。
楓「いえ。ただ」
P「ただ?」
楓「これだけ期待しているファンの皆さんに、大きな華を残せたらな、って」
あの人は無言で同意する。
打ち上げ花火は、大きくて華やかなのに限る。
決意を新たに。
1002Res/629.92 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。