過去ログ - 高坂京介「俺のバッドエンドに救いがあるとは思えない」
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10: ◆EqtePewCZE
2013/06/23(日) 19:49:18.37 ID:jTrJ+0/9o


別に桐乃の言葉に腹を立てたわけではない。今までにあの程度の言葉は腐るほどぶつけられている。

桐乃としても本気であんなことを行ったわけではないのは分かっている。
頭では分かっていたのに、心の隅で本気だったらどうしよう、という恐怖が燻っていた。

深く傷ついてしまった自分がいて、それを桐乃にはどうしても気づかれたくなくて、あわてて部屋を飛び出した。
桐乃のほんのわずかな拒絶も受け入れられない自分が嫌になった。


そうやって些細なことの積み重ねをしているうちに、だんだんと桐乃に近づくのが怖くなっていった。

ようやく普通の兄妹に戻れたのに、また嫌われてしまうかもしれない。
その考えに頭が支配されてしまって、心も体もずっしりと重くなり、何もかもが億劫になっていった。

桐乃の言葉は俺に深く刺さりすぎる。
桐乃のちょっとした一言に身体を貫かれていくうちに、全身が地面に縫いとめられてしまっていて、もう一歩も動けないことに気がついたときには手遅れだった。
一歩も歩けない人間は、100mを12秒台で駆け抜ける奴には追いつけない。

そんなことは当たり前のことだった。



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