139: ◆.g97gKoujg[saga sage]
2014/08/04(月) 01:34:44.25 ID:FySASW9O0
凉一は田園地帯を抜けて住宅街に入っていた。自家のある駅の方へ近付くにつれ傘をさす通行人がちらほら見受けられた。
(あの郵便局……三叉路)
速度を落としつつ雨の中を走り抜ける凉一の視界に見覚えのある景色が混じり始める。
「やっぱり、ボクの……ボクの住む街だ」
実家の近所にある自動車修理工場、この先の交差点を左に曲がれば家はすぐそばだ。
――貴方は夜の住人……昼の世界には戻れない
心の奥底で誰かが囁いた。
「……!?」
その声に弾かれたように跳躍した凉一は、側の電柱を足掛かりに修理工場の屋根の上へ飛び乗ってしまった。
(う、こんな所に……何してんだろボク)
幸い今は雨の降る真夜中、わざわざ外の景色をじっくりと眺める物好きはいないだろう。
自分の不可解な行動が気になりつつも発見される可能性が低いと気を取り直した凉一は、その場から我が家の様子を伺った。
交差点の端から三軒目、そこが凉一の実家だ。
「……あ」
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