11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:38:25.66 ID:Mi8zjoZEo
「翠、携帯電話のカメラを貸してくれるか?」
「カメラですか? ……はい、大丈夫ですよ」
突拍子もないお願いに、翠は疑うこと無く俺に携帯電話を差し出した。
俺のとは違って、翠のものは最新型のスマートフォンだ。
これで他のアイドルともコミュニケーションアプリを用いてよく交流を深めているらしい。
化石のような携帯電話を持っていることは事務所に居るアイドルは皆知っているようで、翠も例外ではない。
恐らく起動にすら躓くと判断したのだろう、ご丁寧にも既にカメラが起動した状態で貸してくれた。
「ありがとう。それじゃ――パシャリ、ってな」
受け取った携帯電話のカメラスイッチの場所を確認すると、おもむろにレンズをアイドル二人に向け、電子的なシャッター音を響かせた。
「…え?」
この行動には二人とも予想できなかったようで、頭上に疑問符を一つないし二つ漂わせている。
「おお、流石最新型。画質も良いな…ほら」
液晶保護のフィルム越しに映る二人の画像は、アイドルの魅力を損なわない美しさを放っていた。
それを見せると、二人は一瞬覗きこむような仕草をして、そういうことじゃないんです、という前置きを置く。
「いきなりカメラを持って……どうしたんですか?」
半ば責めるような目つきだ。
優しげながらも、せっかく貸したのに遊びに使うのは止めてくださいよ、とでも言いたげな声色だ。
「まあまあ、聞いてくれ」
今しがた行った理解不能の行動について、俺は簡単に説明を始めることにする。
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