3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:33:37.16 ID:Mi8zjoZEo
「…学校の宿題か?」
雨でさぞ不快だろうと思ったので、お茶と共に事務所に常備しているタオルを翠に手渡そうして近づくと、翠はソファ前のテーブルに出したプリントを見て悩んでいるようだった。
「あ…ありがとうございます」
俺からの提供物を素直に受け取って使いつつ、翠は続ける。
「実は先日出された宿題なんですが、これが難しくて……」
高校の宿題か。
翠の学年からしても、受験を意識したハイレベルな問題が並んでいるのだろうな、と思ってそのプリントを読んでみると、存外おかしな文章が記されていた。
俺は翠の隣に座って、おもむろに文字を音読する。
「なになに……、『雨の色とは何かを答えなさい』だって?」
国語であれば難読漢字や熟語の正誤、古文であったり、数学なら文字を含んだ数式であったりなどを予想していたのだが、A4のわら半紙に印刷された文字は逆に二度見させる程の至って簡素な文章であった。
「先生の遊びのような個人的な宿題で、回答内容も自由らしいのですが、それが却って中々書きづらくて」
シャーペンを取り出したまま手にとって悩む翠。
梅雨の時期だから早く来て、雨を見ながら答えを探そう、そう考えたのかもしれない。
それにしても高校でもこんな宿題を出す先生がいるんだな、と俺は感心する。
きっとこの宿題を出した先生は国語の先生だろう。
生徒の感性をどう表現するか、それを楽しみに提出を待っているような気がする。
「Pさんはどう思いますか?」
綺麗な手を膝に置いて、翠は俺を見る。
さしずめギブアップ、といった所だろう。
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