5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:35:13.61 ID:Mi8zjoZEo
ではどんな回答が国語的かという事について翠と話し合っていると、聞き慣れた扉の音が再び事務所内に響き渡る。
「おはようございます…と、翠さんも来てらしたんですね」
「あ、ゆかりさん」
こんな梅雨の日に二番目に現れたのは、水本ゆかりだった。
水を落とした傘を傘置きに仕舞うと、服を軽くはたきながら、ゆったりとした足取りでこちらに向かってきた。
「翠もそうだが…今日は早いな」
はっきりいってまだ仕事に向かう時間では全くないはずである。
にも関わらず事務所に早く来てしまうのは、これも梅雨の魔翌力なのだろうか。
「寮にいても雨で気持ちが落ちてしまって…事務所ならプロデューサーさんが居てお話できるかな、と思って来たんです」
「はは、そうなのか」
俺の仕事ぶりを認めてくれたのか、ゆかりはいつしか俺のことを慕ってくれるようになっていた。
同様に翠の方も俺に懐いてくれていて、この事務所に所属するアイドル達の中でも二人は際立って俺とよく接していた。
そんなゆかりの顔を、翠は喜怒哀楽のどれにも値しない何やら複雑な表情で眺めていると、不意に翠はゆかりを招き入れる。
「ゆかりさんも、よかったら考えてみてくれませんか?」
疑問符を浮かべるゆかりに、翠は例のプリントを手渡すと、ニ、三度頷いて、すぐにそれを返却する。
たった数行しか記されていない文字なので、瞬く間にゆかりは本題を理解したようだ。
「中々面白い質問ですね」
向かいのソファに座ると、ゆかりはそう表現する。
その感想が先ほど俺が感じた物と似ていて、思わず笑ってしまう。
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