過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」2巻
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[sage saga]
2013/06/28(金) 21:30:14.29 ID:tARKFY50o
真奥『何だ、今の音』
恵美「……気にしないで、本当に」
まあ、アルシエル――芦屋が財布のヒモを緩めるのは確かに珍しい。
その機会に私を誘ってくれたことは喜んでおこう。
笹塚駅で待ち合わせることにして、電話を切る。
気づくと、隣のブースからこちらを眺める視線が一つ。
梨香「恵美、もしかして貞夫さんと電話? まずいよぉ、仕事中に」
自前の携帯電話でこっそり話していたとでも思ったのだろう、
言葉とは裏腹に、楽しそうにニヤけた顔で梨香が言ってくる。
彼女には以前貞夫のことで相談に乗ってもらったことがあり、
今でもその後の経緯を気にしてくれている。
……ありがたいのだが、どうも純粋に楽しんでいるようにも見えるのは気のせいか。
梨香「でも良かったよねえ、貞夫さんとも仲直りできて、順調にいってるみたいじゃん」
しみじみと言う彼女の言葉に、少しだけ引っかかった。
恵美「……順調、なのかな」
その独り言は、幸い彼女には聞こえなかったようだった。
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