過去ログ - 上条「俺は、美琴が好きなんだ」フィアンマ「……」
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16: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/06/30(日) 22:08:04.03 ID:XcxA+T7q0

彼女は、物心がついた頃にはここにいて。
閉じ込められているが故に、外の世界をロクに知らないらしい。
目が見えないために、仮に外出してもよくわからないだろう、と悲しげに彼女は笑う。

「…こ、こんど!」
「…こんど?」
「いっしょに、そとにでよう」

どうしてそんなことを言ったのかはわからない。
けれども、自分が死ぬ程求めていた言葉を、態度をもらったから。
彼女に、外の世界のことを教えてあげたいと思った。

「そとに?」
「……いや?」
「…なにもみえないから、めいわくをかけるぞ」
「だいじょうぶだよ、おれは」

目が見えない人間のサポートなどしたことはない。
それでも自然と、自分は大丈夫だと自信が持てた。


その日はその後、真っ直ぐに家に帰り。
誰に対しても、親に対してさえも秘匿して。

「………へへ」

握られた手の感触を思い出す。
柔らかくて真っ白な手。
自分よりも遥かに細い、女の子の指。

『まあ、かりにやくびょうがみだとしたならば、かみさまにあえてこうえいだ』

そんなことをいって、微笑んでくれた。
虐げられてきた人生の中で、あんな風に言ってくれた子は居なかった。
絶望していた人生に、一筋の光が射した。

「……」

彼女の足首にまとわりついた鎖を思い出す。
あれを壊さないことには、連れ出してあげることは出来ない。
上条は、がさごそと道具をあさった。
ドライバーだの、のこぎりだの、そんなものを。
そんな簡単に壊れれば苦労しないのだが、子供の知恵ではそれらの凶器を探し出すのが精一杯だ。
日曜大工用に父親が買っていたそれらを紙袋にしまいこみ。
上条はカレンダーを見やり、ひとまず今夜は眠ることにした。


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