過去ログ - 上条「俺は、美琴が好きなんだ」フィアンマ「……」
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32: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/06/30(日) 22:11:00.45 ID:XcxA+T7q0

そうして、歩いて。
歩いて、歩いて、歩き続けて。
夕方を過ぎ、辺りが暗くなって。
それでもなるべく塔から遠ざかろうと歩いていたら。

ふと、大人にぶつかった。

フィアンマが、強く俺の手を握る。

「…困りますねー。これ以上逃亡されては」

金属を擦ったような、不愉快な男の声。
逃亡すべく衝動的に走り出すと、男にフィアンマの腕が掴まれた。

「い、っ」
「はなせよ!」

フィアンマの痛そうな声。
大人に対してこんな風に怒鳴ったのは初めてだ。
冷えた視線に睨み返すと、軽い蹴りを喰らう。

「げほ、っ」
「少し大目に見たのが間違いでしたか。異教徒のクソ猿に触れられては穢れますよ。
 さて、戻りましょうか」

痛みに立ち上がる事が出来ない。
フィアンマは全てを諦めたような、そして申し訳なさそうな表情で、俺の居る方向を向いた。

「つぎ、は」
「…とう、ま?」
「きっと、おまえをたすけてみせるから」
「………、…」

言葉は、届いただろうか。
徐々に遠ざかっていく二人の姿に、悔しくなる。





――――俺は、あの子を救えなかった。


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