過去ログ - 上条「俺は、美琴が好きなんだ」フィアンマ「……」
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864: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/08/04(日) 00:53:50.85 ID:7NQGR9Tl0

移動する。
移動する。

しているはずなのに、同じ場所へ堂々巡りしている気がする。
はたと気がつき、一方通行は移動することをやめた。
軽く息切れしている彼女の背中を軽く撫でる。

一方通行は、全方位からのベクトルにはデフォルトの反射では対応出来ない。
それはかつて垣根帝督が彼を殺すために仕掛けた攻撃からも読み取れること。
加えて、彼が理解していない不可解なベクトルは反射しきれない。
学園都市最高の頭脳は、科学に対しては最強であれど、オカルトに対してはそうではない。
現にフィアンマの特別な右手や奇跡の力は反射出来ないのだから。

「……『人払い』の応用か。訛りがあるな」
『ま、専門じゃー…ねえからな』

男の声。
一方通行は周囲を見やり、能力でもって観測しようとする。
観測する前に、目の前に少年が現れた。

黒髪。
ツンツン頭。
学生服。

目の前にいつの間にか立っていたのは、正しく上条当麻だった。
一方通行は、僅か、後ずさりそうになる。
フィアンマは思わず彼を見つめていた。

『フィアンマ、怪我してないか?』

『上条』が喋る。
フィアンマは黙ったまま、視線を下へと下げた。
これは幻覚だと、わかっている。上条は、自分のところには来ない。
こんな風に心配なんてしてくれない。もう、他人なのだから。

けれど。

黙り、固まってしまうフィアンマ。
一方通行は改めて自分の罪と彼女の想いを考え、沈黙した。
なかなか動けないでいる彼に、衝撃が襲いかかる。
反射した先、淡い光のようなものが舞って消える。
反射しきれなかったダメージは魔術によるもの、一方通行の内臓にまで達していた。
上条が走り出し、一方通行を殴りつける。
人の体というのは不思議なもので、思い込みや錯覚がそのまま身体へ顕れる。
有名なのは、「これは熱湯だ」「今からあなたは血液を喪う」と被験者に告げながらぬるま湯を垂らした実験だろう。
被験者は錯覚によって火傷し、或いはショック死してしまった。
故に、幻覚から与えられた打撃も、衝撃さえ与えればそれは立派な一方通行への痛みとなる。
ましてや、本物の上条に対して軽い心的外傷を持つ一方通行ならば尚更。
加えて、幻術を操る側は何も気にしなくて良い。
与えた衝撃が反射によって分解されても、自分はダメージを受けないのだから。

このままダメージを蓄積すれば、彼は倒れる。

「…、」

フィアンマは一方通行を後ろへ庇い、『聖なる右』で術式の執行者ごと一薙ぎしようと考える。
だが、その前に一方通行が鋭く言葉を放った。

「っ、使うンじゃねェ!!」

魔術を使えば、絶対に彼女は傷つく。
最悪、死んでしまうかもしれない。
それを思えば、術式を使わせたくないのは当然のことだった。

これ以上。
自分のせいで、彼女が傷つくことは絶対に容認出来ない。


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